2005.12.19

Category:学生

「映画「青いうた」~青森・むつ市ロケにて」清水優(俳優科3年)

 

映画「青いうた」(金田敬監督)にキャスティングされました。

 

‘99年に公開された映画「のど自慢」(井筒和幸監督)の続編を思わせるような作品で、中学から高校までの子達の成長を描いた青春映画です。
「青春」。自分の好きな言葉BEST3に入る最高のフレーズです。そんな作品に参加できるということで、めちゃめちゃ興奮しました。ロケ地は、青森県むつ市という場所です。着いた時、まず感じたことは、「何もない」(むつ市の皆さん、スイマセン)でした。
足を踏み入れたこともなく、知っている人が1人もいない土地に行くということが、自分の中での不安を倍増させました。
でも、そんな不安は1日目にして早くも無くなりました。なぜかというと、初日の撮影終了後、懇親会が開かれ、その時に、むつ市の皆さんの温かさに感激したからです。今回、映画の撮影があるということで、町全体で歓迎してくれたのです。寒くてダウンジャケットを着ていたのですが、気付いたら半袖になっていました。
下北フィルムコミッションの代表者の方が最後に挨拶をされました。その言葉に感動しました。
「今、私達は青森で一番高い所で懇親会をしています。そこで、青森県を代表して、この映画を大ヒットさせることを約束します。」
懇親会が行われたホテルは青森県の中でも一番高い所にあったのです。

 

撮影は順調に進み、第一の山場、「中学校での撮影」です。
主人公達が通っている中学校で、卒業パーティーが開催されています。そこへ(自分が演じる)「赤神」が、一派を引きつれ、そのパーティーをブチ壊しにするというシーンです。  
ですから、エキストラの中学生、来賓者の保護者、先生など、たくさんのエキストラが必要なシーンでした。中学校に着くとビックリしました。なんと、平日なのに授業が行われていなかったのです。校内放送で教頭先生が、
「只今撮影隊が到着しました。皆さん、静かにしましょう。」
という放送が流れました。その放送が流れた瞬間、廊下を元気よく走っていた中学生がピタっと失速したり、校庭でサッカーをしていた生徒達がドリブルを止めたりと、急に校内が静まりかえったのです。そのような完全なバックアップ体制で撮影が始まりました。役者陣が卒業パーティー会場の体育館に入ると、その瞬間拍手が起こり、熱烈な歓迎を受けました。撮影の最初のシーンは、自分の場面からです。リハーサルをして、いざ本番。
「OK」
と監督の声が聞こえた瞬間、拍手が沸き起こりました。音が鳴るほうを見てみると、笑顔で拍手をしている地元の方々がいたのです。自分は、なんか恥ずかしくなって顔が赤くなってしまいました。朝の8時から夜の7時まで、このようなエキストラの皆様にお付き合いして頂いたお陰で、無事に撮影は終了し、第1の山場といわれていた「中学校での撮影」を無事に乗り越えたのです。

 

続いて、共演者の話をしたいと思います。
プロデューサーの一言から始まりました。
「今日から清水君は2人部屋だから」
その相手は、メインの1人、落合君という子でした。その後に、もう1つ追い打ちの一言が、
「落合君は中学3年生だから」
ガッビーン!!
自分はその時、頭の中に1つのフレーズが出てきました。「話題がない」。何を話せば良いのか、何も分からなかったのです。ドキドキで部屋に向かい、ドアを開けました。そうすると可愛い顔をした子が立っていました。軽い挨拶をした後、なんだか重い空気の部屋に入り、ベッドに荷物を置きました。器が小さい自分は、用もないのに携帯をいじったり、したくもないのにトイレへ行ったり、無言の10分間が過ぎていき、もう何も出来なくなった自分はこう言いました。
「とりあえずタメ語で・・・」
それが吉に出たのか、2人の距離がいっきに縮まりました。後から聞いた話ですが、落合君は、僕にビビっていたらしいのです。なんせ自分は、役の都合で頭を金髪にしてて、マユゲがほとんどない人だったからです。だから、そんな人と同室の落合君の方が不安になっていたのでしょう。落合君とのコミュニケーションに成功した自分は、主演の濱田岳君(高校2年生)、富浦さとし君(中学2年生)、寺島咲さん(中学3年生)と、メインを演じる4人と仲良くなることに成功しました。そのホテルには天然温泉があり、男の子とは裸の付き合いをしながら語り合いました。温泉から出たら、5人でロビーにある牛乳を買い、「牛乳パーティー」をするのが一日の終わりを締めくくる日課になっていました。
自分が帰る最終日には、4人が送別会をしてくれて、一晩じゅう話をしていました。
朝起きたら、次の日撮影のない富浦君が、僕の腕の中で寝ていました。
いろいろとあった僕の「青いうた」は、終了しました。
地元の皆さん、共演者の皆さんと触れ合えて、ちょっと青春を感じた10日間でした。

 

 

映画「青いうた」(企画・制作・配給 シネカノン)2006年 初夏公開

 

役名:赤神  (主人公の敵役)

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