2005.05.02

Category:学生

「先輩風」岡村拓(映画演出コース2年)

 

はじめまして。僕は2年映画演出コース・緒方明ゼミの岡村拓と申します。
新入生の皆様はクラスにも慣れ、人間研究に取り掛かり出した頃でしょうか。
この1クラス20人という人数は一見少人数と思われるかもしれませんが、これから企画や脚本をぶつけ合うライバルとして見れば決して少なくはありません。個性豊かな面々、年齢層も幅広く、趣味も様々。
その中で勝ち残ることがまず最初の目的。人それぞれ目的は違うかもしれませんが必ず誰かとぶつかり合うでしょう。
しかし、映画を撮る際にはこの20人で撮らなければなりません。
映画を撮るギリギリの人数、仕事が無い人など1人もいません。ここは、映画業界の縮図の様にも見えます。

 

映画学校の学生は1度は病にかかります。学生ホールに行くと時々しおれた茄子の様な顔の人がいます。もともとその様な顔の人もいますが、それとは別です。この症状は、最初の実習「人間研究」の時によく見られます。この世の終わりのような、肩が触れただけで今にも崩れてしまいそうな、口から吐く煙草の煙が、まるで「エクトプラズム」のように見えます。作業に取り掛かると、ストイック、そしてナーバス、みんなとても繊細です。
もし想いを寄せる人がいるなら、この時に告白しましょう。そして、その状態を乗り越えると、今度は、「何を考えても何も考えられない」という状態が襲います。話し合いは煮詰まっていき、皆ピリピリしていきます。
時間は刻々と過ぎ、終電はもうない。「今日は、お前の家に泊めてくれ。」6、7人で泊まります。
「あぁ男くせぇ、俺が思い描く薔薇色の学校生活はなんだったんだ!」これこそが、映画学校での薔薇色なのです。

 

朝だ、学校へ行こう、教室の扉が重い、空気も重い、資料も重い、それとあの子への片思い。しかし、そんな辛い日々も発表が近づくにつれて辛いどころじゃなくなっていきます。ボロがどんどん出てきて訂正箇所だらけ。
手の止まっている人はいません。渾身のドキュメンタリーはこうして完成するわけです。人生って、なんてドラマティックでファンタスティックなんだ。人を感動させることがどれほど素晴らしいことか。どれだけ難しいことか。
この達成感は、こうした苦しみを乗り越えた人にしか味わうことができません。1年生の皆さん、期待しています。

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