2006.01.09

Category:学生

「『日々これ変わる』それが人間」稲川秀樹(映画演出コース3年)

 

『15年間助監督を続ければ次は監督です。』これが昔の映画業界の定説でした。
『おい!おい!おい!15年なんて待てねぇぞ!』これが昔の僕の考え方でした。
何かアイデアで勝負し、面白いネタで一発魅せる、それでうまい具合「監督」に。そんな考えを持ち入学して一年、下手なアイデアを模索しては却下が続き、そして二年に上がり、あの言葉。『15年助監督を続ければ次は監督です。』
はっきり言って大ダメージでした。やる気を失いました。先が暗く見えなくなりました。自分の人生以外じゃ飽き足らず、映画を作る事で自分以外の人間の人生を描きたい。そんな考えを持っていた19歳の自分には15年は長く、遠回りとしか感じませんでした。
しかし、そんな考えを早くも変えたのは担任の井坂聡監督でした。
二年の実習で井坂さんと共に行動をすることで、『助監督とは監督になるまでの待ち時間ではない!』『基礎が無ければモノは崩れる!』そんな考えを叩き込まれ・・・否、むしろ身に沁みてそれを実感しました。
簡単に言えば、人生観や言葉のボキャブラリー、哲学や宗教観、見てきたものや触れたもの、全てに乏しい19,20の若造が簡単にスクリーン中の人生を創造すること自体が甘いのだ。19歳、まだまだ若い。学ぶことが必要だ。知ることが必要だ。
『映画の本質はドラマだ!世界観だ!人間だ!』そう考えるようになった21歳の今、スクリーンの中の人生を創造するに足る自分を作るために、『出逢う事全てが学び場』そんな助監督という仕事を、カチンコを持って現場で汗をかきながら走り、学んでいます。

 

しかし、いつまた考えが変わるか分かりません。二転三転するかもしれません。また戻るかもしれません。でも、それこそが人間思想の本質でもあり、人生でもあり、ドラマでもあります。『日々これ変わる』それが人間なんです。

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