2006.02.20

Category:学生

「百聞は一見に如かず」安川祐香(俳優科1年)

 

今回、役者として初めてプロの現場<TBSテレビ 2/25 夜9時~『生命38億年スペシャル 人間とは何だ V』>に参加しました。
撮影は3日間。時代劇のため着物やかつらにメイク、全て初体験です。撮影場所は茨城でした。
悲田院で働く女という役で重要な台詞などはありませんがほとんどのシーンに出てきます。小さな役ですが自分にとっては初めての出演。衣装合わせの時点から緊張でカチンコチンでした。

 

自分の役は新入りで下っ端という設定なのですが、実際の自分も新入りで下っ端。
何をどうして良いのか分からず、先輩方の動きを見よう見真似する事からスタートを切りました。しかし急ピッチな撮影だったため指示があまりなく、その先輩達もどうしたら良いのか分からなかったようです、皆で一緒にぎこちなく中途半端な演技をしていました。勿論、自分達でそういう場合どうにかしなければいけないのですが、指示されていないのに動くという自信と勇気が足りなかったようです。カメラマンさんもそんな自分達を写してはくれませんでした。その後もフレームに入る事が出来ず、先輩達は諦めモード。自分も相変わらずどうして良いのか分からずオロオロしてばかりです。そのまま時間が過ぎて行き食事休憩。ため息を付いて歩いていると脚本家さんが肩を叩いてくれました。

 

「カメラが例えこっちを向いていなくても演技し続けてみな」
それを聞くと自分は驚きながら思わず
「演技しても良いんですか?」
脚本家さんの答えは即答でした。
「勿論、当たり前。君は演技をしにきているのだから」
今思えばなんて当たり前な事を聞き返しているんだ自分!と恥ずかしくなってしまいますが、その時自分は脚本家さんに背中を押して頂けたのです。
自分は演技をしにきているんだ。
改めて再確認。すると、とても嬉しくなり勇気が沸いて来ました。

 

食事を終えると早速演技。今度は迷わず躊躇わず自分らしく演技が出来ました。
周りなんて関係ない…という訳ではありませんが周りを気にし過ぎて演技が小さくなったり演技をしなかったりは損!役者なんだから役者らしく演技する。演技はしないよりやり過ぎた方が良いんです。やり過ぎれば抑えてくれと必ず言われますから。
流れに少し乗ってきた所で撮影は次のシーンに移りました。悲田院に村人達が火を点けにやってくるというシーンです。すると助監督さんからお呼びがかかりました。なんと火を点けようとしている村人達に一人で止めに入るという大きな動きを頂けました。これは頑張らなくてはと気合が入ります。「テスト!」掛け声、「よーい アクション!」
「やめて下さい!」気が付いたら何度もその言葉を繰り返し泣き叫んでいました。
「カット!」助監督さんがこちらに向かってきます。
「やめて下さいをあんまり連続で言わないでね」
あ、やり過ぎた(汗)
「でも良かったよ、今の感じで徐々に言葉を少なくしていって」
!?。初めて褒めて貰えました。ちょっといきなりで戸惑ってしまいましたが、これでやり過ぎても叱られないし役を降ろされないと確信が持てました。そして本番も無事にOKが出ました。引きのシーンなので顔は見えないだろうと思いますが、確かにカメラの中に自分は悲田院で働く女として存在する事が出来たのです。
今、自分は演技してた!!
役になりきれた嬉しさと楽しさで胸がいっぱいになりました。カメラさんはちゃんと演技をしていればフレームに入れてくれるのです。その後も順調に撮影は進み、そして無事終了。一息ついていると脚本家さんや助監督さんの方々からお褒めの言葉を頂けました。

 

スタッフさん達はこんな小さい役でもちゃんと見てくれているのです。
今回の撮影では、やってみないと分からない事、気付けない事を知る事が出来ました。
経験!百聞は一見に如かず。これからも場数を踏み、もっともっとプロの現場を知って度胸をつけていこうと思います。

 

 

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