2006.03.16

Category:OB

「嗚呼、卒業制作」早坂伸(カメラマン)

 

「嗚呼、卒業制作」早坂 伸(カメラマン)
日本映画学校 映像科11期(1999年)卒業

 

ボーダーレスの世界と言われて久しいが、それは映画界にも当てはまります。いわゆる一般映画と自主・学生映画間の垣根はもはやないと言っていいのではないでしょうか。あるのは、そう単純に「面白いか、否か」。

 

3月3日、当校の卒業制作発表会に足を運ぶ。卒業以来、初めて。毎年やっているのは当然知っていましたが、仕事とダブったり、モチベーションが上がらなかったり、失念していたり。今年は前もって日時・場所を確認しており、仕事もオフであった。正直なところ、当初全日鑑賞するつもりはなかった。だが、観れば観るほど「勿体ない」という貧乏根性が湧き上がり、眼を離すことができない。気づけば終映になっていた。

 

どの作品も独創的で、一定の水準を軽く超越している。いつからこのような慣わしになったのかは知らないが、なんというキャスティングの豪華さ。それはプロの役者が学生映画を「映画」と認めている証左ではないだろうか。
彼らの”演技力”が監督の演出力を凌駕してしまい、その個性・作家性を埋没させてしまう危険性もあるかもしれないが、それを差し引いてもメリットの方が俄然大きい。作品としての完成度、クオリティへの影響は論ずべくもない。昔の学生映画にあった「居心地の悪さ」というものをほとんど感じずにいられました(そこが良かったりもしたのですが)。

 

撮影・照明等の技術も素晴らしく、こちらが見習おうと思ったショットも数多くある。無論、経験不足による失敗なども目に付くがそれは誰でも通る路。「恥のかき捨て」と割り切って堂々と失敗してもらいたいものです。

 

私が撮影を担当した卒業制作『青~chong~』(李相日監督)が来月DVD発売されます。この作品にも失敗箇所がいくつかあります――というより失敗で出来ている蟻塚です。先日テレシネ作業しながら何度椅子から滑り落ちそうになったことか。在校生はこれを観て力にしてください(笑)。

 

これから卒制を撮られる在校生がとても羨ましい。無数の可能性がそこにある。出来たら私ももう一度卒制を撮らせてもらいたい。やっぱ駄目ですかね(笑)。

 

追記(宣伝):『東京大学物語』(江川達也監督)が17日までシネマサンシャイン池袋で公開されています。宜しくお願いします。

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