2006.12.04

Category:学生

「NEXT LEVEL」船生 光(俳優科3年)

 

僕はこの度<激弾スペースノイド>の舞台「スタンレーの魔女」に出演した。

 

経緯としては日本映画学校のエチュード実習という授業に伊藤栄之進さんという激弾スペースノイドの主宰者が演出助手に来た所から始まる。
そもそもエチュードというモノは即興でありそこに生がある。
これから表現者となる上で間違いなく必要な部分だろう。
それを勉強するためにこの授業があったのだが、僕達のグループは何をしたいのかさっぱり訳が分からなかった。
そこには演技をしていない自分が居たが、栄之進さん、藤田傳さんは良かったと言ってくれた。

 

その後、栄之進さんに連絡を取ってスタンレーの魔女に出演させてもらうことになった。
「スタンレーの魔女」の芝居の稽古は、本番一週間切ったぐらいからのスタートだった。
その前まで何をしていたかというとクイズ。
はぁ?
きっと普通の人なら有り得ない事だと思うだろうが毎日「クイズ」。
クイズ。
クイズ。
そのせいでいろいろなふざけた知識が増えてしまった。
しかしきっとこのクイズも演出の一部だったんだなと僕は思っている。

 

その後は戦時中の話だったので調べられるものや、その時を過ごした軍人に話を聞く等、情報収集は入念にやっていた。
そこで分かった面白い事が結構あって、まず海軍はロン毛でも良かったって事。今までのイメージからだと坊主しかあり得なかったので驚きを隠せなかった。
そして、どうやら従軍慰安婦も居たと言う事実。

そんな感じで本番一週間前から千葉で泊まり込み、この時点で本がやっと完成したのだった。
大丈夫なんだろうか、成功するのだろうかなどなど、不安が半端じゃなく頭をよぎっていたのだが、スペースノイドはそんな柔な集団ではなくその後は凄いペースで進んでいく。
僕は栄之進さんにお前はお前で良いと言う演出をされたのだが、さっぱり理解できずゲネプロまで出れるか出れないかの瀬戸際だった。
しかし小屋入りしてから、ふとエチュードの時のことを思い出した。
あれは自分だったな。
あのときは楽しんでいたなぁ。
そもそも楽しむのを忘れてしまっていたのだ。
こんなんじゃ出れないのは無理がない!と思い、まず楽しむという事を念頭においてやったら正に的中したようだ。
何か長い時間かけて悩んだ自分が馬鹿みたい。
結局、演技で悩むというのは役者の自己満足でしかなく、それ自体を捨てれば良いという教えであった。

 

今回「スタンレーの魔女」は非常に評価が高く池袋演劇祭でも賞を頂いたらしい。
それに少しでも貢献出来た事は非常に自信がついた。
しかしこれからの問題も浮き彫りに・・・。
まぁ人生勉強だと思うし、間違っていること、直せる事を一歩一歩やっていければと思う。

ページトップへ