2007.03.05

Category:学生

「ロケ弁は世界で一番美味しい」北村泰岳(音響クリエイターコース3年)

 

興味本位でこの学校に入学したのが運の尽き。1年次に制作する人間研究という静止画ドキュメンタリーで早くも自分の怠慢さが露呈してしまった。
それからというもの、信頼関係というものを軽んじるばかりでゼミの人と隔たりが広がりつつあった。

 

就活もろくにせずにいたのだが、ひょんなことから3年生の12月に学校の斡旋で(プロの)映画製作現場に行くこととなった。腐りきった根性を叩き直すべく、担任の中山先生から是非参加するように薦められたのだった。
八日間のギチギチの過密スケジュールでしょっぱなから躓くのがオチとわかりつつも、内心今までの自分を報復するために、任されたからには死ぬ気で行こうと自分にしては珍しく堅い決意をした。現場経験はこれで2回目である。

 

初日、渋谷の渋東シネタワーに朝7時集合。緊張の余り6時前には到着してしまった。いや、これぐらいの心意気がなければ到底仕事をこなすことなどできはしまい。
撮影は電光石火のごとく進んだ。一日60カットなんてザラで息つく暇も与えてはくれない。ミスがあれば学校の実習とは違って当然怒られるし、遅刻なんてものは論外である。
自分は録音助手ということでマイクを担当した。ひたすら振り続けた。5分以上持ち続けなければならないカットもあった。寒い冬の朝もどこ吹く風で汗だくになりながら必死についていこうとした。
昼時になると小休止を兼ねての食事タイムである。朝の集合が早いが故、連日昼頃には空腹がピークに達する。ロケ弁の出番だ。これが本当に美味い。単に唐揚げと魚フライと漬け物と梅が一個ご飯にのっただけの弁当なのに滅法美味い。まさに厳しい現場のオアシスである。午後の撮影への活力が漲る。

 

そんなこんなで八日間のシビアな現場生活が終わりを告げた。今回の現場は本当に楽しかった。上手くは言えないが、初めて映画製作というものが楽しいと思える現場であったことには間違いない。

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