2007.04.23

Category:OB

「全てが終わり残ったもの」池田 遼(円谷プロダクション勤務 )

 

3月31日、自分が1年3ヶ月関わってきた番組が無事、最終回を迎えた。

 

もう夜遅くまで作業することもない。
ぐっすり眠れるし、
たまの休日に電話で呼び出されることもないし、
弁当20個近くを持って自転車をこぐこともないし、
片道1時間かかるところを1日何回も往復することも、
怒られることもない。

 

もう嫌味を言われたり、
無茶な要求をされたり、
トイレの個室でこっそり泣くこともない。

 

それなのに、

 

そのはずなのに、

 

なぜかとてもとても寂しくて。

 

卒業制作をつくっている時もそうだった。

 

監督と言う立場に押しつぶされそうになったり、
役者やスタッフの質問にうまく答えることが出来ない自分が情けなくなったり、
いくら考えてもいい台詞が思いつかなかったり。

 

でも、全てが終わった後ものすごい寂しさを感じた。

 

きっと僕らは、この寂しさを埋めるためつくり続けるんだろう。
他にもいろいろ理由はあるけど、とことんまで突き詰めたらやっぱりこの理由なんだと思う。

 

この仕事を始めて、周りから「夢を叶えたね」と言われることが多くなった。

 

祝福してくれているのはありがたい。けど自分はまだ夢の入口に立っただけ。
仕事もちゃんとできないし、たくさんの人に色々迷惑をかけた。
夢を叶えるためにはもっと頑張らなくてはいけない。

 

それでも、2週間に1回クレジットに名前を載せてもらえた。
1話だけだけどミニコーナーのナレーション原稿で自分の考えた物を使ってもらえた。
予告の構成も何話か考えさせてもらえた。
エキストラ出演もした。
見習いたい人に出会うことも出来た。
本当にたくさんの人に優しくしてもらえた。

 

全体から見れば小さなことだけど、良くも悪くも自分がいなければこの作品はいまの形にはならなかっただろう。

 

そのことだけは、誇りに思いたいのです。

ページトップへ