2008.01.21

Category:OB

「無視しようとしたら」高橋健太(俳優)

 

何をやったらいいか分からないのは、在学中も今も同じです。
そしてそれは、時間が経てばさらに分からなくなっていき、苦しくなっていくものだと思います。
僕が今ここに書けることは、秘訣などではなく、ただの、迷っている自分についてです。

 

最近僕は、俳優が好きなのではなく、ただ褒められたくて俳優をやっているのではないかと思っています。
それは自分が「役者が好き」と言う程、真面目にやっていないような気がしたからです。
何回そのセリフを言った?と聞かれても絶対に一万回はセリフを言ってはいないし、舞台の上で何かを自慢しようとか、見せてやろうとか。
何かを考えているフリをして何も考えず舞台に立っているような気がします。とても恥ずかしいです。

 

反省文みたいになってしまいましたが、この考えを改善しようかどうしようかと言うわけではなく、また真面目さが全てと言っているわけでもなく、
ただ、自分がなぜこんなことを考えたのかと言う事が不思議です。

 

別に、今凄く落ち込んでいてこんな文章しか出てこないとかそういう訳ではありません。毎回なぜか、こういう事を思うようになりました。
こういう色々な疑問を。不安だからでしょうか。もっと言えば、どうしてこの事をわざわざこの場で書いたのだろう・・。
この文章の出所すらも、この人は自分に厳しいんだ、とかそういう事を言われたいというところからきているのかもしれません。
自分について厳しく語っている姿が好きなだけかもしれません。役者をやりたいと言う自分の本当の正体は、褒められたいと言う所から来ている。
それに気づいたことに感動してこういう文章を書いたのでしょうか。それを発表することで安心しようとしたのでしょうか・・。

 

そういうことと同じように、例えば、舞台の上で失敗したくないとか、この時間を特別な時間にしたいと思うのはなぜでしょうか。
みている人の期待を裏切らないようにしようと思うからでしょうか・・。どうして、お客さんが笑ったらセリフを喋る声が少し大きくなったんだろう。
どうして、自分の番が終わった後、失敗または成功したような気持ちになるんだろう。どうして、うまく芝居をしようとするんだろう。どうして・・。

 

これは舞台の上に立って、誰かにみられる以上無視出来ないことだと思います。それが自分なわけですから。
そういう疑問について考えることは、地味ではありますが、楽しいことかもしれないと少し思って来ました。
正解は無く、それでもこの先ずっとその「何故」と戦っていくことになるでしょう。

 

考えて、飽きてつまらなくなってそれでも考えて、辞めようと思ってもわからないまま続けて、その先のおもしろいものを、早く体験したいです。

 

最後に、突然の告知ですが、19期の俳優科メンバーでつくった劇団の第二回公演があります。2月の1日から3日まで横浜でやります。
今回は、僕が作・演出という事になりました。毎日、他の出演者の人達に助けられながら稽古をやっています。
さっきの僕の切実な疑問を少しでも考えられるような場にしたいと思っています。

 

(日本映画学校 俳優科19期生)

 

チェスターコパーポットカンパニー 第2回公演
「字が読めなくなった人へ」
会場:横浜st spot(ホームページ)
公演スケジュール:2月1日(金)19:00/2日(土)14:00と19:00/3日(日)14:00と18:00(開場は開演の30分前です)
チケット料金:当日・前売共 1800円/学生 1500円
劇団ホームページの方もご覧下さい。
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