2008.07.22
Category:学生
俳優科特別講義に来ていただいた佐野史郎さんがおっしゃていた言葉で一番印象に残ったのは「できない事をすることのおかしさ」。
この言葉でいろいろな事を考えさせられた。
日本映画学校に入ったばかりの頃、人前で演技をすることが恥ずかしくてしかたがなかった。
目立つのは嫌いじゃないからなんとかなると思っていたが、目立つことと人前で演技することは、全然違った。目立つだけではなく見ている人に何かを感じてもらう難しさで戸惑った。
この学校に来る人は、たくさんの映画を見ている。私は、ただ有名になりたいという気持ちが一番で、勢いでこの学校に入学した。
映画はあまり見ていなかった。本当に恥ずかしい、と入学してから感じた。
そして、できないこと、わからないことが多すぎて、少しなげやりになっていた。
でも佐野さんの言葉で自分の心の中にあったもやもやしたものが消えていったような気がした。
できないのなら、できるように努力すればいい。
そして、できないことは初めてのこととして楽しめばいい。
できるように頑張ることが、できるようになることの最初の一歩だから。
映画を見ていないのなら、今から見ればいい。
努力していく過程で、できないことの「おかしさ」を感じることができるのだと思う。
人前でなにも演技ができなかった私が1学期のビデオエチュード実習を体験し、たくさん学んだ。
監督、スタッフ、キャスト・・・周りの全ての人のおかげで、自分の中にある何かに気づくことができた。どんなことをしている時より、演技をすることが大好きになった。演技することが楽しくて楽しくて、嬉しくて嬉しくてしかたがない。不安や戸惑いがあり、思い切ってできなかった自分がいたからこそ、演技を楽しめる自分を発見できたのだと思う。
ビデオエチュード実習でお世話になった兼重監督に教わったこと・・・“楽な方ではなく、楽しい方に進んでいこう”
(日本映画学校 俳優科23期生)