2009.03.17

Category:学生

「曖昧な返事」松本めぐみ(映像科2年)

 

冬休み。

数年振りに小学校の同窓会があった。
参加はしなかったものの、同級生の近況が耳に入ってきた。
皆、子どもの頃描いた夢とは大きく異なりもするが、自分で仕事を決めてしっかり働いているという。家業を継いだ同級生もいた。

 

私の場合、いまだに学生だ。

「専門学校に通っています」と自己紹介をすると
「何を専攻しているの?」って聞かれるのが常。
「映画の勉強をしています」って返事をするので
「じゃあ、将来は映画監督を目指しているのね?」って聞かれて、戸惑う。
思い起こせば、子どもの頃から将来の夢を聞かれては、
いつも曖昧にしか答えられなかったように思う。

 

入試の時、面接にて、「何コースを学びたいか」と質問されて

「演出コースに進みたいと思っています」と、返答した記憶がある。
そして、「でもよく分からないんですけど…」と、弱気に付け加えた。
そもそも『映画』が自分の頭の中にぼんやり浮かんだのは、高校在学中にそれこそ真剣に進路を突き詰められてからだった。
『映画』と言っても具体的に何をしたいかなんて、寧ろ何があるのかすら思いつきもしない、田舎の娘が突然突拍子もないことを言うのだから反対もされた。

 

それから入学まで4年も時間がかかってしまったのは、反対されたことが原因ではなく『映画』に立ち向かう決心ができなかったからだった。

その時にしか考えられないことがあること、そして自分で決断すること
曖昧と混沌の4年間の中で学んだことである。
遅れて入学したことが好と転じるかは、これから先にならないと
分からないことだが、このことを知って入学できたことは良かったと感じている。

 

あの面接で弱気に返答した私に「実習を行えば、自分が何がしたいか分かってくる」と、面接官は言われた。

しかしその後入学しカリキュラムを行い、いざ進級の希望コースを選択するときになっても、私は自分が何がしたいかはっきりと分からなかった。
その胸のうやむやを担任に話すと「お前は本当は映画監督になりたいと思っているんだ。
だから、自分の口できちんと監督になりたいって言っていけ」と、言われた。

 

私は誰に無理強いされたわけでもなく、自分で選んで演出コースに進級したが、

映画監督になりたいですなんて大それたこといえない日々を過ごしている。
「夢はギャングスターです」
そんな風に私も胸を張って、大きな夢を語れる人になれれば、と心底思う。
あれから沢山の映画人の方々・先輩方とお会いする機会があり、
「監督を目指してるんだね?」と聞かれても
私は結局、相変わらず曖昧模糊な返答を繰り返す。

 

『一生懸命だが必死さがない』と、先日講師に言われた。

確かにそうかもしれない、いや確かにそうだ。
必死になって頑張っていない自分を知っているから、
自信のない私は曖昧な返事しかできてないんだと思った。

 

誰かが決めてくれたのではなく自分で決断してここにいるのだから、

今さら逃げ腰にならず、必死にもがいて、あがいて、苦しんで、
もっともっと真剣に、正面から自分と向き合っていかなければならないのだ。

 

今じゃないと考えられないこと、今だから考えられることを

頭がカチ割れるほど考え、伴うタフな自分になった時、
たぶん私は自分の将来のこと強く話せるようになり、そしてそれは思い描いた自分に少しでも近づく。
きっと、誇れる自分になっているんだと思う。

 

(日本映画学校 映像科22期生)

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