2009.06.23

Category:学生

「ステップアップ」澤田元希(映像科1年)

 

5月のゴールデンウィークの頃から、人間研究という実習が開始された。
知り合って間もないクラスの人たちとやる、
最初の作品製作は、当初から意見のぶつかり合いばかりだった。
こんなもん完成するわけがないと本気で悩んだ。
そして目的もなく、最初の取材に行き話を聞いた。
「なんだ余裕じゃん」と思いながら学校に持ち帰ってみると、
講師の先生からは「甘すぎる。人間から逃げているじゃないか」
ということを言われた。
一体なにがダメなのか、何から逃げているのかすら理解できず、
ただただ時間だけが過ぎて行く焦りが、
作品をグチャグチャにしていった。

 

そして二回、三回と取材は進んで行き、対象者との仲は深まり、
コミニュケーションスキルは上がって行く。
それでも先生から聞き出して来いと言われたことは話すことが出来なかった。
ビビってしまったのだ。
そこまで来てようやく、これが人間から逃げてしまっていることなのかと気付いた。
もう予定では編集をしなければならない時期だった。
このままではつまらない作品になってしまう。
泣きの一回で、もう一度対象者の方にお願いし、会ってもらった。
ようやく欲しい言葉がもらえた。
ホッとしたのもつかの間で、ここからが本当の勝負だった。
寝る暇もなく写真の選定や、音声の編集・・・毎日時間との戦いでツラい日々が続いた。
発表間近のリハーサルでは、
音楽やスライドのタイミングがナレーションと合わず全然上手くいかない。
四苦八苦しながら本番を迎える。
合評会は緊張の連続だったが、
自分たちの持てる力が精一杯出せた作品を皆さんに見ていただけたと思う。

 

人間研究を通し、自分自身が一つ大きくなれた気がした。

 

(日本映画学校 映像科24期生)

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