2010.03.16

Category:学生

「光」 海道 元(映像科2年)

 

太陽が誕生して約46億年…
人類が火を用い始めて約150万年…
エジソンが電球を発明してから131年…
私たちの生活とは切っても切り離せない“光”という存在。
日が昇り、目が覚め部屋の電気をパチンと点ける。
この、ごく当たり前の現象が僕を悩ませる日がくることなど2年前は思ってもいなかっただろう。

 

僕は今2年撮影・照明コースにいる。
そして、その一年間が今に終わろうとしている。
一年半前、初めて照明機材にふれた。
なんだキャメラマンの方がかっこいいじゃないか、ただ漠然とそう思った。
一年半後、僕はカメラではなく照明にふれていた。
右手にパン棒ではなくピンチを握っていた。
2年次の終わりのある日、担任から「今度、照明技師の中村裕樹さんを呼ぶから」と聞いた。
後日、本当に中村さんが日本映画学校にやってきた。

 

講義の前に中村さんが照明を担当した行定勲監督の「春の雪」が上映された。
スクリーンの中で照明が生きていた、表情があった、情緒豊かに。
改めて知った、照明にも生と死と喜怒哀楽があることを。
役者と同じように照明も芝居をするのだということを。
中村さんの照明はとても繊細だった。
絵画のように色彩があり、それがまた映画とこの上なく調和していた。
技術とは違う、言葉では伝えきれないものがそこには映っていた。

 

上映後、中村さんの話を聞く中で思ったことがある。
それは、次元は違えどやっていることは同じなのだということ。
脚本を読み、いかにその場面にあった照明をつくること。
演出を活かし、カメラを活かし、映画を成立させること。

 

中村さんは映画によって、自分自身の中での映画に対する考え方が常に変わっていっていると言っていた。
人は物事と向き合うことで進化するのだ。
僕もまた映画と向き合うことで進化していくのだ。
僕は今再び照明にふれて思う。
照明技師ってかっこいいじゃんか。
それは“漠然”にではなく“明白”にそう思った。

 

(日本映画学校 映像科23期生)

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