2010.09.14

Category:学生

「静岡に帰った」 竹浪春花 (映像科3年)

 

実家のある静岡に帰った。
駅に着くと、新静岡センターという、デパートが無くなっていた。驚いた。
代わりに、その場所には鉄骨だけが残り、まるで骸骨みたいにそびえ立っていた。
新静岡センターは、私が生まれる前から建っていた大きな駅ビルのようなデパートだ。

 

「3時に、センターでね」
とか、
「センターに迎えにきて」
とか、よく待ち合わせ場所に使っていた。
そんなセンターが骸骨になって、私の目の前にドーンと仁王立ちしている。

 

なんだか、寂しいような、別にどうでもいいような、ちょっと、すがすがしいような、なんか変な気分だ。

 

高校の頃、アヤちゃんという子が、そのセンターで、バイトをしていた。
確か、地下の焼き鳥屋みたいなところだ。
アヤちゃんは、ヴィジュアル系のバンドが好きで、東京が好きで、携帯ばっかり弄ってた、私の数少ない友達の一人だった。
アヤちゃんとは高校を卒業してから全く連絡をとっていなかった。
しかし、ひとづてに聞いた話によると、アヤちゃんは、もうお母さんになっているそうだ。
0歳の男の子の母である。

 

新静岡センターは、名の通り、静岡の中心にあって、私の生活の中に当たり前のようにあった。
でも、今は骸骨だ。仁王立ちしている。
私は上京して、日本映画学校に入学してから約3年になる。
色々な事が知らないうちにもの凄いスピードで変わっていく。
びっくりすることばかりだ。
でも、そのうち、変わってしまったことすら忘れて、明日になる。
不思議だ。
センターの跡地には、シネコンが建つらしい。
完成したら、映画を観に行こうと思う。
アヤちゃんにもメールを送ってみようと思う。

 

(日本映画学校 映像科23期生)

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