2011.02.08

Category:学生

「走って、もがいて、苦しんで」笹原聡(日本映画学校 映像科3年)

 

高校生の時に学校の授業である映画を見た。                                      
自分が家にある映画のビデオで見たことがないジャンルの映画で、そこから映画を学ぼうと決めた。
高校2年生の時だった。

 

山形という田舎者が何を考えてか、この日本映画学校に入学した。
この学校には多くの映画監督が授業で講義をしてくれて、現場の動き方、映画の見方、脚本の書き方、さまざまな視点があることが分かった。
また、同じ作品を作るということは、しんどいことだけれども、その中でも楽しいところを見つけてきた。映画が楽しいってふと思う。この時間がまだ続いてほしいと。

 

でも、悩んでいる。将来に展望がないとおもう。本当に。

 

今の僕がこのまま映画界で生きていけるのか?どうか?

 

インターンシップでも全然動けなかった自分がはたしてこのまま?

 

そこから逃げるように映画を見続けている。
映画館やDVD、ビデオをみて、寝て、飯食べて、見て寝て…
堕落した生活を毎日過ごしている。

 

映画が好きになったのはわかった。
けれどもはたしてそれが通用するのか?
自分が映像の仕事に就きたいのかどうかぶれてきている。

 

社会に出て、知識も、技術もなんにもない自分がはたしてどうしたらいいのか?

 

ある時、バイトの先輩から「ランニングに行かないか?」と誘われ、走りに行った。
よく、時間ができたら走ることをしていた。
自分は中学、高校のころと陸上部に在籍していたので、走ることには無理なく走ることができる体だ。
なんにも考えず、ただただ毎日走っていることが何だか楽しかった。

 

時折、周りの景色の変化に気がついて
「ここにこんなお店があったんだ。今度来てみよう」とか「じゃあ今度はこっちに向かってみよう。まだ緑が綺麗で景色がいい。」など。

 

走っていると道はさまざまに枝分かれしており、どこまでつながっているのか、それは走ってからでないとわからない。
時間もかけて、ゆっくりとしていくのも悪くない。
逆に時間を設定して、早くするのもいい。
早くスピードあげて走ってみたり、ときにはゆるく、遅く走ってみたりと。

 

自分は今、立ち止ったところだ。
息が上がってしんどい。
でも、走り続けることはしんどいんだ。疲れて、足が重く、腕も振っていられない。
そう、止まってしまうことのほうがもっときついんだ。

 

走りきっても、体が冷えないように、壊れないようにと、歩いて少し回復しないと。
前を向いていないと。
止まったら止まったで一度走るのをやめないといけない。

 

それは自分の力にならないからだ。

 

走る距離、時間を決めたらそこに近づくには自分の力を高めていかないと。
力をつけるには、走って、走ってを繰り返さなければいけない。

 

気がついたら、もう遠くまで来ていた。
だから、覚悟を決めた。
腹に力を入れて、前を向く。
さまざまな道の中から選んで走って行かないと。

 

この学んだことが無駄にならないために、動いていかなければ。
動かないと死んでしまう。
どんどん脳みそが溶けてしまう。

 

動いて、もがいて、もがいて、動いて。
苦しんで、苦しんだ分、返ってくるものが大きくなって帰ってくる。
自分が生きてきた中で、見つけた、人生の楽しみ方だとわかった。

 

僕は、走り続けたい。
これからも。

 

(日本映画学校 映像科23期生)

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