2012.01.10

Category:学生

「愛について」谷川詩織(日本映画学校映像科2年)

 

「素材に愛がないと編集なんてできない」
ある人から言われた。当たり前のことなのだけど、凄く心に残っている。

 

最近、実習とは別の作品づくりに参加した。
夏にスタッフとして参加したジュニアワークショップの縁があって、
中学校の学校紹介映画づくりに呼んでもらったのだ。
監督やキャメラマンなど、現場スタッフは中学生。
機材・演出指導はワークショップの指導監督で、映画学校のOBでもある福田陽平監督。
撮影日が一日しかなく、短い時間内で12シーン撮らなくてはならない。
撮影が押して、やむを得ずカットしたシーンもあったが、中学生たちの頑張りで
夜までかかって何とか撮り終えた。
編集は私に一任されていたので、翌日から自宅で編集作業を始めた。
編集ソフトの使い方がろくに飲み込めないながらも、やるしかない!と気合いを
入れて編集に励んだ。
うまく繋がらなかったり、ノイズだらけでがっくりしたこともある。
けど、そこで諦めようとは思わなかった。
別カット使ったりして何とか繋げたり、新しくベースノイズやSEを録音して差し替えしたり。
どうしたらいいのか分かんなくなることもあったけど、中学生や担当の先生が
メールをしてくれ、福田監督が忙しい合間をぬってラッシュを観て、アドバイスをくれた。
そのおかげで、最後まで仕上げられた。

 

正直、大変だった。
戸惑うこともあったし、迷うことも多くて時間がかかった。
でも、嫌になることはなかった。中学生たちが楽しみにしているのを知ってたし、
私自身も作品に思い入れがあった。
作品が完成した今、愛がないと編集できない、って、こういうことなんだろうなあって思った。
どうでもいいと思ったら、努力しなかったかもしれない。
こうして愛のある作品に巡り会えて、編集やらせてもらえたことは
凄く幸せなことだなあって思う。

 

完成した作品を届けに行き、大きなスクリーンで中学生たちと一緒に観た。
観終わった後、
「ありがとうございました」
と笑顔で言ってくれた中学生を観て、やってよかったなあって心から思った。
これから先、どんな愛のある作品に巡り合えるのか楽しみだ。

 

(日本映画学校 映像科25期生)

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