2012.01.24

Category:学生

「人生の余白」植田賢(日本映画大学 1年)

 

私は現在21歳。順当に人生が運んでいれば大学3年生にあたる年齢。

 

この”順当な人生”という言葉に惑わされ続けた。

 

幼い頃より将来の夢を抱いた事が無かった。絶望的な程に現実主義者。
現代で言えばサンタクロースの存在の真偽をYahoo知恵袋で検索する様な子供。
そんな私が大学受験を避けてフリーターとして2年間過ごしたのは、大学の先にある
将来を恐れて逃げ出したから。誰もが抱く漠然とした未来への不安を必要以上に感じた。

 

そんな私の様な人間を面白い人物としてファンタジックにもコメディにも彩って
くれる世界が映画界である様に思えた。

 

入学して最初の授業【人間研究】。
私達の様な卵から出てもいないひよっ子が取材対象者の人生を覗いてほじくり
返して作品にする。
私の取材対象者の人生は壮絶であり、自分が抱えていた問題の小さき事小さき事。
それでも私なりに自分が経験した小さな壮絶をさらけ出して取材をした。
欠点や弱さが武器になり、私の経験は武器としては圧倒的に不十分である事。
その事実に何処か救われた想いがした。

 

2年間でした事。悩む、悩む、悩む、悩む・・・・・・・・。それだけ。
塗りつぶしてしまいたい人生の余白。それでもその余白があってこその自分である。
今でも時折胸を襲う”人生を無駄にした”という感覚。
そんなどうしようも無く小さな男を自分自身の手で作品にする事が、私にとっての
夢なのかも知れない。

 

マイナスとしか思えない時間、出来事、自分。
この世界はそれを個性と呼んでくれる。

 

(日本映画大学 映画学部 1期生)

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