2012.04.24

Category:OB

「ごあいさつ」 若木康輔(ライター)

 

某出版社が出す書店売りビデオ・シリーズのリサーチや台本を任されるようになり、

さすがにそろそろライターを名乗っても大丈夫かなと思えたのは、1996年だった。
学校(脚本ゼミ)を卒業したのは90年の春だから、なんと歩みの遅いことよ。
その間、青空をゆっくり見上げた記憶はほとんどない。
ただ、そうなるとまた次の不安が生まれる。

 

前述のビデオの編集中、全体を取り仕切るAさんにスタジオのコーヒーを

出しついでに、おそるおそる聞いてみた。
「あのう。物書きを続ける人と、途中でやめちゃう人の違いは、なんで(しょう)」
「(被せて)そりゃオマエ、コケの一念だよ」
大部数の週刊誌・雑誌の編集者として活躍してきたAさんの明快すぎる即答に、
栄養失調気味のいたいけな若者は立ち竦んだ。
……つ、つまんない答え! そういうメンタル任せのアドバイスはかえって迷惑
なんだよなあ。

 

岡村孝子か。「あなたの夢をあきらめないで」ってか。

もっとさ、マニュアル的とまで言いたかないけど、なんかこう具体的かつ実践的
なのは無いンスか。
いやだから、「的」じゃなくて、マニュアルそのものが欲しいの!
もちろん口に出せるわけのない内心が、露骨に顔に出ちゃったのだろう。

 

「ウン、そうだなあ」と、Aさんは改めて考えなおしてくれた。

待つこと約3分。
「あ、ダメだ。どう考えても結局はコケの一念。それしかないよ、若木くん」

 

卒業したばかりの若いみなさんに、新百合OBの古参としてなにか言えることが

あるとしたら、このやりとりに尽きるかなあという気がします。
人並み以上に汗をかいてきたはずなのにホンペンのクレジットに名前が出た回数
ゼロとか、ルサンチマン話は売るほどあるのですが。
齢四十を過ぎれば、まあ、細々とでもしがみついてこられた。
それだけで充分に有り難いことかも、と感謝する気持ちのほうがまさりつつあります。

 

今春から、ドキュメンタリーカルチャーマガジン「neoneo」のリニューア

ル・スタートに微力ながら関わっています。
写真は事務所での打ち合わせ時のもの。
映像科17期生の大澤一生さんが中心メンバーのひとりで、いろいろ教えて
もらっています。
しかし、なぜか努力するほど脚本家から遠ざかる20余年の暗夜行路の果てに、
よりによってドキュメンタリーかよオイ。
自分の人生方向音痴ぶりがフシギでなりません。
ただ、1年の授業で小川・土本を初めて見た時の興奮とはキレイにつながって
いるのだから、これもまあ、いいのかと。
当初はドキュメンタリーについてつらつら語りながら自然と告知に持っていく、
いかにもスティルスマーケットな原稿にするつもりでしたが、日本映画学校を
相手にそういう小細工はムダだと気付きました。

 

「neoneo」、オープンしたばかりのウェブサイトをご覧ください。

あとは、しのごの申しません。まずはお見知りおきを。

 

http://webneo.org/

(日本映画学校 映像科2期生)

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