2013.03.05

Category:OB

「ありがとう日本映画学校~たたかう映画人たち」大道優子(KAWASAKIしんゆり映画祭事務局)

「ありがとう日本映画学校~たたかう映画人たち」大道優子(KAWASAKIしんゆり映画祭事務局)

 

3年前、新百合ケ丘に戻ってきた。学校を卒業して以来、約10年ぶりだった。戻ってきてみると、学校前の山が無くなっていたり、古びた飲食店街が綺麗な文化施設に変わっていたり、先に進むのは危険そうだった道が「新ゆり山手通り」というオシャレな道になっていたり・・・街というのはこんなにも変わるものなのか、と面食らった。

 

学校には実家から通っていたこともあり、新百合ケ丘には学校以外の思い出がほとんどなかった。この土地にどんな人たちが住み、暮らしているのか、接することもないままに卒業したこともあり、3年前「KAWASAKIしんゆり映画祭」に関わるようになって、初めてこの土地に住む人々に出会った。この人たちが面白い。バカみたいに映画を観る。映画学校の学生より、だんぜん映画を観ている。そして語り、伝えようとする。仕事は映画と全然関係ない人ばかり。普段は会社のサラリーマン、受付嬢、編集者、ライター、印刷製版、主婦、テレビディレクター、書店の販売員・・・なのに、映画でつながり、時間とお金を映画につぎ込む。私はこの人たちに出会い、猛烈に嬉しくなってしまった。こんなにも純粋に映画や映画人を愛する人たちがいたことに。

 

そんな彼らから、ある日提案があった。「3月で映画学校は完全に大学化しますね。いままで映画祭は日本映画学校にたくさんお世話になってきました。感謝を込めた上映企画をやりたいんですが、どうでしょうか」

 

彼らが提案してきた枠は「5時からシネマ」という市民活動を推進する為に立ち上げた映画上映プロジェクトの企画だった。”2013年2月と3月になにを上映するか”を議論しており、昨年急逝した映画監督の特集などを検討していた。

 

「卒業生でもないのに、なぜ映画学校が閉校になること、大学に完全移行すること、その節目に着目したんだろう」驚いてしまった。

 

新百合ケ丘に戻ってきて、映画好きな市民スタッフと出会い、もう一つ気づいたことがある。それは、この映画祭の人たちは映画学校のことをとても好きだということ。学生時代、近場でロケ地を探すのは至難の業だと教務課の人に教えてもらった。先輩達の数々の武勇伝により、映画学校の学生がこの地域で撮影場所を探すのは非常に困難になってしまったと聞いたとき、映画学校はあまり地域から好かれていないんだ、という印象を受けた。それ以来、十数年。市民スタッフから「映画学校への感謝と映画大学へのエールを込めた上映企画をやりたい」と言われたときに嬉しくなったのは、学生時代にはわからなかった学校側の地域への貢献、そしてそれに対する市民からの感謝の念、そういうものの存在を知ったからだ。

 

ーーーこの企画は卒業生として頑張りたい。

 

市民スタッフが提案した上映企画「ありがとう日本映画学校~たたかう映画人たち」を成功させるために動き出して、早4ヶ月。いよいよ今週末から上映会がスタートする。

 

3月9日(土)は『桐島、部活やめるってよ』の上映後トークに吉田大八監督と藤井勇さん(照明/日本映画学校4期生)を迎えたゲストトークを行い、司会を日本映画大学の准教授・田辺秋守さんが担当してくれることになりました。藤井さんは吉田大八監督、山下敦弘監督、沖田修一監督、熊切和嘉監督、タナダユキ監督など、第一線で活躍する若手監督と多数仕事をしている人です。

 

3月10日(日)は『希望の国』の上映後、御木茂則さん(撮影/日本映画学校2期生)にお越しいただき、今回の作品のこと、学校在学中のこと、卒業後、そして現場のことを伺います。

 

またスペシャル企画として、”私たちが選んだ日本映画学校卒業制作作品”『拝啓人間様』(ドキュメンタリー/松林要樹監督/日本映画学校16期)と『どん底の二歩くらい手前』(ドラマ/藤村享平監督/日本映画学校17期)を無料で上映し、上映後は監督を迎えてトークイベントを行います。

 

いま映画の制作現場で活躍している卒業生から、日本映画学校とはどんな学校だったのか、そこで学んだこと、卒業後に苦労したことなどを聞きたいと思っています。

 

3月13日(水)には『桐島、部活やめるってよ』の助監督・西原裕貴さん(日本映画学校12期)を招いたゲストトークの司会を務めます。西原さんとは1年桑田ゼミの同期ですが、学校卒業後、はじめて会います。さて、どのような話になることやら。今回の企画は、地域×学校、先輩×後輩、先生(師匠)×学生、そして教務課の方々や同期同士など、さまざまな交流の場になればと思っています。上映日には日本映画学校関係者や卒業生からのコメントがぎっしり詰まったフリーペーパーを配布します。在校生のみなさま、卒業生のみなさま、関係者のみなさま、お時間がありましたら、ぜひお越し下さい!
(日本映画学校 映像科12期生)

 

 

ありがとう日本映画学校_チラシ表

 

ありがとう日本映画学校_チラシ裏

 

『ありがとう日本映画学校~たたかう映画人たち』 詳細情報

http://kac-cinema.jp/theater/detail.php?id=000564

■ タイムテーブル

http://kac-cinema.jp/schedule/

■ 地域タウン誌Webページ

http://mytown21.co.jp/events/14332.html

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