2013.10.22

Category:学生

「 ひとり、いちにん。 」李民浩 イ・ミノ(日本映画大学 3年) 

 

 

今から3年前、日本映画大学第一期生として、
初めての授業である”スタートアップ授業”のとき、
佐々木理事長が話してくれたエピソードです。

 

 

「私は子供の頃、日本占領下の中国に住んでました。
当時、中国共産軍が侵攻してきた時に備えて、ある訓練をやってたんですよ。
それがね、水を入れたガソリンタンクを、爆弾だとして、そのタンクを戦車に投げ出す訓練だったんですよ。
しかし、子供の頃、私は単にその訓練が”面白かった”です。 
ただの訓練であって、水を入れたタンクだったですが、
それが本物の爆弾であったら人が怪我したかもしれない、人が死んだかも知れないその訓練を
私はただ”面白い”って思ってました」

 

 

うろ覚えなので、正確なセリフははっきりと覚えてませんが、
60年間の休戦で、「憎しみ」「恨み」しか残ってない韓国で、
私が18年間、身につけられ、学んだ韓国社会の一人(いちにん)としての「戦時体制」から開放される瞬間でした。

 

 

 

そして、さらに深く「人間」、「人」を学びたいという思いが強くなり、
その「人間勉強」に励んで3年。

 

 

映像や音で表された人たち、
それ(映画)を、通して人間、時代、社会を勉強する夢のような毎日でした。

 

 

正直などころ、真面目だったのはほんの少しで、
残りはほぼ、サボりや適当で誤魔化した夢のような毎日だったような気がしますけど.. (笑)

 

3年前の自分と比べて、
大きく変わった自分と出会ってるような気がします。

 

それは、今まで学んだ一人(いちにん)としての「私」ではなく、
一人(ひとり)としての「私」です。

このブログに飽きるほど書いてますが、
映画は「ひとり」では決して作れません。

共同作業であって、スタッフによって完成させてゆくのです。

スタッフとしての、一人(いちにん)になる前に、
まず、自分一人(ひとり)が成り立ててからこそ、
一人(いちにん)になれる。

そこから、スタッフとなって、「一本の映画」作ってゆくのであると私は思ってます。

この映画大学で、そして実習を通して、
見たことのない自分一人(ひとり)出会ったこの3年間。

 

やっと出会ったようで、まだ遠くにいる自分ですが、
これを見つけ出して、育ててくれた先生たち。
そして、こんな自分でも一緒にやってくれたみんなに感謝の気持ちいっぱいです。

これからも出会ってない自分に出会い、
これからも出会ってないひとりに出会い、
日韓両国だけではなく、全世界の人を知って行き、
そして、究極の自分の目標である、映画での「人間保護」への道へ進んでゆきたいと想います。

 

とんでもないことであり、
かなえられない妄想に過ぎないかも知れませんが、
みんなと一緒にやってゆきたいと思います。

 

この文の続きは、わたし一人では終わらせません。
終わりがあるかわかりませんが、この文の続き、みんなとやってゆきたいと思います。

 

みんな、残りの学校生活もよろしくお願いします。
(日本映画大学 1期生)

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