2015.04.14

Category:OB

「劇団民藝 冬の時代」劇団民藝・制作部 平松多一

 

堺利彦という人物をご存知でしょうか。

メディアのあり方やジャーナリズムの役割を云々と映画大学ホームページのドキュメンタリーコース紹介欄にありましたが、堺利彦はいまからおよそ100年前にそのことを考え抜き、様ざまな局面をとらえて実践した人でもありました。
『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(黒岩比佐子著)は、そんな堺利彦の生涯をたどったヒューマンドキュメントで、第62回読売文学賞を受賞しています。

 

売文社とは、堺利彦が、社会変革の志を持つ若者たちと立てこもった砦のようなものです。

喰うため、生き残るために編集プロダクションや広告代理店がするような業務をこなして、厳しい弾圧のなか仲間同士が結束し、糊口をしのいだのでした。「へちまの花」というタブロイド版の新聞も発行していて、与太と皮肉の交錯が持ち味の紙面で人気を博したそうです。
堺利彦さん、あの宮武骸骨と気脈をつうじてもいたようで、ユーモリストの顔もお持ちだったそうです。

 

武重邦夫先生から聞いたエピソードを思い出しました。

その昔、先生もまだ若く今村プロダクションも常に金欠病で、年末のモチ代さえ出ないときがあったというのです。
そこで、先生たち当時の今プロの若い連中は、寒風吹きすさぶ渋谷の街頭にでて道端にひいた御座の上に、茶碗やら湯呑やらの瀬戸物を並べてたたき売りをしたというのです。
まるで寅さんではありませんか。
そんな昭和の映画人のバイタリティーを中継地点に、逆風の中で突破口をもとめて悪戦苦闘する明治・大正の若者たちの姿が、僕のなかでつながりました。

 

「人は、このようにも生きることができるのだ。苦難の時代を、明るく、暖かく」

と『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』文庫本の解説にノンフィクション作家の梯久美子さんが記しています。
劇団観民藝4月公演『冬の時代』は、その堺利彦が主人公です。
どうぞお楽しみに。
詳細は、ホームページでどうぞ。
(横浜放送映画専門学院 映像科11期生)

 

劇団民藝ホームページ>> http://www.gekidanmingei.co.jp/

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