2015.09.15

Category:OB

「芝居体験でひろがるそれぞれの未来」平松多一(劇団民藝・制作部)

Minolta DSC

 

今はお芝居の世界で制作部員として働いていますが、もともとは映画の脚本を書きたくて横浜の11期に学びました。
お芝居との関わりは、ここ、日本映画学校(当時)の卒業公演に首をつっこんだことがきっかけです。
毎年2月に行われる「卒公」は、映像科の卒業制作上映会とならんで、学校主催の一大イベントでもありました。

 

当時、公演の作・演出をになっていた河本瑞貴さんは、ウッチャンナンチャンの育ての親として知る人ぞ知る存在ですが、もともとは脚本家で映画やテレビのシナリオをけっこう忙しく書いて、私は彼の弟弟子という身分。
原稿の書き方からスナックでホステスさんにもてるためのいろは、などなど実地に学ばせてもらっていたので「こんど卒公やるから、お前も手伝え」となれば、馳せ参じないわけにはいきません。

 

舞台で演じるのは、全員学生ですが、スタッフは、照明にステージ・ライティング・スタッフの中山功さん、音響に斎藤美佐男さん、衣裳に佐々波雅子さんら錚々たる顔ぶれ。
演目も、ビートたけしさんの小説『漫才病棟』や青木雄二さんの人気漫画『難波金融道』、今村昌平監督の脚本デビュー作『幕末太陽伝』などを瑞貴さんがオリジナル台本を書き下ろして上演しました。
ほんとうなら原作権のことやらうるさいのでしょうが、
「今村監督のところの若い人たちが、お芝居にするならまあいいか。頑張れよ」
とみなさん快く許可してくださいました。

 

公演会場だった青山円形劇場が先頃、閉館となり一抹の寂しさを覚えましたが、ここ日本映画大学に身体表現(俳優)コースが新設されるとのニュース。
演技を学ぶ人が増えるのは嬉しいかぎりです。
また、映画や演劇の世界では、俳優から作家へ、また俳優から演出家・監督へ転身という道も珍しくはないので、いずれにしろ若いうちに役者を体験するのは、将来なにをするにも大きな意義があるように思えます。

 

結局、瑞貴さん作・演出の卒公は7年つづき、私はそのすべてに参加しました。
結構な数の学生さんとたち付き合ったことになるのでしょうが、「卒公が初舞台=ラストステージ」となった人も多いはず。
でもたまにお芝居のチラシに当時かかわった学生さんの名前を見つけては、こっそりと下北沢あたりの劇場にいったり、映画やドラマのエンドロールに知った名前がいないかとチェックしたりしています。

 

さて、来月の20日から、新宿の紀伊國屋サザンシアターで『大正の肖像画』というお芝居を上演します。
激動の昭和を目前にした大正の時代に、彗星の如く現れ若くして散っていった中村彝(つね)という実在の画家が主人公の劇団民藝公演です。
新人からベテランまで12人の俳優たちが実に様々なキャラクターで登場します。
みなさん(学生さん)とほぼ同世代の20代の出演者もいます。よかったら学生割引を利用して見に来てください。
(横浜放送映画専門学院 映像科11期生)

 

大正の肖像画

劇団民藝ホームページ>> http://www.gekidanmingei.co.jp/

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