2016.06.13

Category:OB

『炭鉱の絵描きたち』スピルバーグも認めた脚本家の名作

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6月15日開幕の『炭鉱の絵描きたち』を紹介します。「リトル・ダンサー」やスピルバーグと組んだ「戦火の馬」などで有名なリー・ホール作のこの舞台、世界中で大ヒットしていよいよ今回、劇団民藝6月公演として日本初上演となります。

絵画のかの字も知らない炭鉱夫のおっさんたちが、いっぱしの画家となって大評判をとるというイギリスで実際にあったセンセーションをもとにした愉快なお芝居です。

名もない肉体労働者がアーティストに……そんなことが可能なのか。その秘密は炭鉱夫たちに向き合った先生の教え方にあった。その先生、遠近法やデッサンのやり方など、画家がたどるべき技術的基礎は教えなかったらしい。
では何を……という疑問を解くには、〈人間とはかくもピュアなるものか、何とうさんくさいものか、何と助平なものか~~〉という今村昌平監督の「理念」にそのヒントがありそう。日本映画大学新百合ヶ丘キャンパスの玄関に掲げられているあのちょっといかめしいくて鈍い光をはなっている四角いレリーフです(白山キャンパスに もあるのかな?)。
ネットでも簡単にひけますし是非、この機会に全文読まれたし。このお芝居、名脚本家リー・ホールによる創作についての奥深い問いかけ、という側面もあるような。

『炭鉱の絵描きたち』面白かった! 見逃してしまった! という方は、7月の劇団民藝稽古場公演へどうぞ。会場の民藝稽古場は、小田急線黒川駅より徒歩八分。稽古場での公演ですので、普段、演劇なんか見たことない人でも低料金でわりと気軽に楽しめます。
演目は『坂道と夏の日』。女学生3人の青春群像をメインに普通の人々の戦時下の日常が描かれていきます。舞台は、1945年8月9日の長崎。
午前10時05分から午前11時02分までのたった1時間のお話しです。「全部明日にとっておいた。ごめんねもありがとうも、さよならも」という公演チラシのコピー。
そのコピーとチラシのデザインは、20代のデザイナーの卵。鶴川にある和光大学でデザインを学ぶ学生さんの作です。キャストはもちろん劇団民藝の俳優たちで、これまた20代の新人、若手がわんさか出演します。先日、中高年のおじさんたちがアートセンターの一角で、「しんゆりにも若い連中の溜り場があちこちあったらいいなあ……」と地域の文化的展望を語り合いましたが、僕もそのうちの一人でした。

さて、民藝稽古場は、溜り場とまではいかないけれど、7月26日から31日まで『坂道と夏の日』公演期間中は冷たいお茶、コーヒーなど無料サービスでご用意し、老若男女たくさんの皆さまのお運びをお待ちしています。

(横浜放送映画専門学院 映像科11期生)

劇団民藝ホームページ>> http://www.gekidanmingei.co.jp/

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