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プロデューサー

井上 文雄

inoue fumio
自分の思いに嘘をついたら
どこかで頓挫してしまう

ひとりで企画を考えて、スタッフを集めて脚本をつくり、役者をキャスティングする。そして撮影に入るわけですが、助監督だと作品が完成したら「おつかれさん」。でも、そこから宣伝があり、配給があり、結果が出る。その最後まで責任を持つのがプロデューサーです。

最後まで責任を持つのが
プロデューサーの役割

業界に入った当初、プロデューサーは口先が上手いだけの人って思っていました。撮影現場に陣中見舞いにやって来て、俳優にだけ気を遣っている、とか。自分がやるようになって初めて、それが重要な仕事のひとつだってわかるんだけど(笑)。

この仕事はネタを見つける、または生み出す〝発想〟が重要。そこからしか芽は出ないから。「ヒットさせる」って意識は常に念頭に置いています。それにヒットしたときの気持ちよさを経験すると、「もう一度!」となる。

当たる作品には根拠がある
一方、自分の嗜好こそ重要

当たる作品は、いくら個人的に気に入らなくても、当たるだけの根拠がどこかにある。それは認めないといけない。そのなかで、自分の嗜好に合ったものを見つけるように心がけます。

売れようとして、自分の思いに嘘をついたら、どこかで頓挫する気がするから。プロデューサーは最後まで作品に関わるからこそ、いい加減な思いで仕事をするわけにはいかない。

映画は〝生もの〟だから、想定していたことがひっくり返ることもしばしば。常にその覚悟をしておかなければならない。そうなったときは……笑ってごまかす(笑)とか、処理方法はいろいろあると思いますけど、要は切り抜ければいいんです。必要ならば、その場で頭を下げます。いかにすばやく対応するかが一番大事。

理論、計算だけでは儲からない
自分の意志で選んだ業界

僕はスタートが今村学校だから、「映画ビジネス」なんて小難しい発想はなかった。逆になんだかんだと理論付けて映画をつくるのは〝映画屋さん〟ではないと思っていた。ヒット確実、そんな虎の巻があるのなら、とっくにみんなやってます。根本的には、理論、計算だけで儲かる商売じゃないんです。

もし誰かが「辞める」と言っても、この業界の人は引き留めないと思う。むしろ「そっちの方がいいよ」って即答する。「そっちでうまくいったら、俺も呼んでね」って(笑)。嫌みじゃなくて、この仕事はそれだけ不安定。プロデューサーはもちろん、監督だって人気商売なんです。

仲間ともよく話すんです。「しんどいことを『嫌だ嫌だ』と言いながらやって、お金をもらう方法もある。でも俺たちは好きなことをやってお金をもらっている。いろいろあってもしょうがいないよ」と。飯が食えなかろうが、いま業界にいる人たちはみんな、自分の意志でこの業界に残っているんです。

プロデューサーに向いているのはこんな人!

人間関係を裏切らない人

ハッタリはいいんですよ。「これ当たりますよ!」とか「みんな幸せになるよ!」とか(笑)。それぐらい大げさに言わないと、プロデューサーとしてはプレゼンができない。

もちろん、本当にそう思っているんですよ、ちょっとはふくらませていますけど(笑)。なかには、黙々と信頼を積み上げるタイプの人もいます。

どちらにしても楽しくやらなきゃ。それで儲かったら最高でしょう?

[photo]押尾健太郎 初出:FULLSIZE vol.2(2010年2月取材)。FULLSIZE’(2016年発行)に転載した記事を再構成

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