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主人公の野見庸太郎は今年還暦を迎える。高校教師として誠実な生き方をしてきたつもりだったが、授業に興味のない生徒達や、引きこもりがちな娘との向き合い方がわからないでいた。ある日、一風変わった社会評論家の白巳龍彦と出会う。自分とは正反対で自由な生き方をしている白巳と分かり合えない主人公。互いの価値観に触れていくうちに、少しずつ考え方に変化が生まれていく。
主役には『Shall we ダンス?』、ウルトラマンシリーズなど多くの人気作に出演する実力派俳優、宮坂ひろし。社会評論家の白巳は、大河ドラマ、連続テレビ小説などで知られるベテラン俳優の山上賢治が演じる。脚本は、昨年度の卒業制作『つきあかり』に続き、2年連続で選ばれた撮影照明コースの渡邊菜子。登場人物の心情を丁寧に掬い上げ、端正なセリフとストーリーで描き出す。監督は演出コースの宍戸洸太。ついクスっと笑ってしまうコミカルな演出は観る者をスクリーンに惹きつける。Z世代の製作陣は60代の生き様をどのように描いたのか。最後まで目が離せない。
主人公の野見庸太郎はもうすぐ還暦を迎える高校教師。定年も間近になり、ずっと続けてきた教師人生も終わりを迎えようとしてる。健康のためにとランニングを始めるが、すぐに足を痛めてしまう。そんなどこにでもいる普通のおじさんだ。老いを感じる日々の中で野見は悩んでいた。仕事も家庭もそう上手くはいかなかった。教師として、誠実な生き方をしてきたつもりだが、生徒たちは授業を聞いてくれない。父親としては、引きこもりがちな娘にどう接していいかわからずにいた。
ある日、風変わりな社会評論家の白巳龍彦と出会う。自分とは対照的で自由な生き方をしている白巳と分かり合えない野見。破天荒だが、明るく自分らしく、野見がどう向き合えばいいのか悩んでいる生徒たちや娘ともすぐに打ち解ける白巳。複雑な思いを持ちながらも、少しずつ心を開いていく野見。ある時、白巳に知られざる暗い過去があることを知る。野見と白巳、決着のつかない過去と、この先そう長くはない人生。変えられないものと変われること、悩めるおじさんたちは、どのような未来を選ぶのか。
宮坂ひろし
山上賢治
浅地直樹
平山さとみ
上之園菜那
林摩耶
監督:宍戸洸太
脚本:渡邊菜子
音楽:仁禮匡彦
プロデューサー:佐藤摩保
副プロデューサー :松阪遥紀
撮影:安藤隆也
照明:小西愛由美
録音:山田晃己
編集:蘇煜然
助監督:永田悠悟
演出助手:NARISIGEHONG、小久保杜音
撮影助手:磯谷翔太、大江吉伸、王嘉鴻
照明助手:山田雅裕
グリップ:渡邊菜子、WANG MIJIE、常文婧、胡俊博
録音助手:及川咲織、遠藤由実子、河辺摩周、土居慎之介、宮﨑愛音、原田大貴
編集助手:鈴木貴也、山本陸史、渡辺流星、青山怜音
制作部:張城愷、劉芸知、劉志鵬
車両:藤崎仁志
グレーディング:(株)IMAGICAエンタテインメントメディアサービス 河原夏子
スチール:曽根大樹
メイキング:平野武周
協力:エーミュージック、山上商店、キャンパスシネマ、アール・クルー、ノックアウト、真分喜治、宮下阿佐子、小田原御幸の浜、西部漁港事務所、金程前田公園、波多野家、飯田信子、狛江スポーツセンター、狛江ロケーションサービス、七里ヶ浜、神奈川県立菅高等学校、エキストラの皆さん
美術協力:高津装飾美術株式会社、 株式会社日映装飾美術
車両協力:バルクレンタカーアンドセールス株式会社
<作品宣伝チーム>
統括連絡代表:佐藤摩保、松阪遥紀
プレスリリース:大江吉伸、佐藤摩保、NARISIGEHONG、劉志鵬
メインビジュアル:小西愛由美、山田雅裕、渡邊菜子、遠藤由実子、土居慎之介、磯谷翔太、張城愷、安藤隆也
予告編:蘇煜然、胡俊博、山本陸史、宍戸洸太、永田悠悟、鈴木貴也
SNS:山田晃己、及川咲織、王嘉鴻、宮﨑愛音、河辺摩周、劉芸知、常文婧
上映会宣伝チーム:青山怜音、渡辺流星、原田大貴、小久保杜音、WANG MIJIE
なぜ、20代女性である私が60代男性の話を書いたのかというと、描いてみたいと思ったからという単純な理由に他ならない。ただ、制作を終えた今、あえてその答えを言葉
にしてみるとするならば、私の現在地である思春期や青年期よりも、第二の思春期とも言われる中年の危機の感情の方が私にとって関心があったからといえるかもしれない。
漠然とした生への不安や拭いきれない老いや死に対する恐怖。自分の過去に自信が持てず、これから何をして生きていけば良いのか分からない。そもそも自分は何者なのか。青
年期にも通ずるその感情は、今の私にとっての問題でもある。その真髄は自分の心にあるのではないかと思った。身の回りの物事に対してどのように感じるのか、その一つ一つが
自分をつくっていくように思う。尤もなことを言っているようで、全てがでたらめのようでもある白巳。そこら辺に転がっているものでありながら、どこか神秘的な存在でもある
石。それらをどうみるかは人によって、想いによって変わってくる。自分は何をみてどのように感じるのか、自分の心に静かに耳を傾けることがアイデンティティ確立のための一
助になるのかもしれない。
まだまだ思想が浅く、脚本執筆の技術も未熟である私には、中年の危機を描き、それに対する自分なりのアンサーを表現することは到底できなかったが、本作をみていただいた
方の心に何かしら感じるものがあれば、非常にうれしく思う。
脚本・グリップ:渡邊菜子