2007.11.26

Category:OB

「枠を外す」植松亮(カメラマン)

 

『伊賀の乱拘束』は、『天正伊賀の乱』(2005)、『red letters』(2006)に続いての、千葉誠治監督との3作目の映画となります。
主にCM、PVで育ってきたので、映画の撮影を担当できるとは思ってもいませんでしたが、その後も続けて映画を撮ることが
できたことはうれしい限りです。

 

時代劇やアクションが好きなので、体力維持を兼ねて、武道に親しんでいます。
殺陣自体には口を挟みませんが、なるべくワイドを使って、アクションそのものに踏み込んでいけるよう心掛けています。
やはり間積りができないと撮れない角度もありますね。
在学中は、夏休みや冬休みを利用して撮影所で現場見習いをしていました。
3年間で計5本の特撮映画に参加。もちろん実習は欠かさずでていましたし、週末はアルバイト、学校帰りには都心の道場に通い…。
密度の高い学生生活だったと思います。

 

撮影志望でしたが、監督から「フレームの外の世界をつくることから始めなさい。」と言われ、最初は美術部見習いから入りました。
金槌の使い方を覚えるために、三寸角の廃材に釘を百本打ち込んで、抜いては叩いて打ち直してと、一日中やらされたこともあります。

 

スタジオの水まきや、クレーンのウエイトがわりなど、できることから覚えていきましたが、おかげで全体を見る視点が養われたと思います。
まず外からつくるということは、今でも自分の撮影の基本となっています。

 

《毎年毎年、十年一日のごとくモルタルを塗って、しかも一つとして同じ場所はなく、季節も違えば風の日も雨の日もある。その日の自分の体調や気分もある。気の合った同士で作業する時もあれば、互いの気性もわからぬ「出合い丁場」もある。そうやって様々な現場を踏んで、多くの失敗を重ねながら、10年ぐらいの歳月をかけて左官は一人前の職人に成長する。それだけの年月の間に、体つきや身のこなしが「様になる」ようになっていく。(小林澄夫『左官のいる風景』(2005)朝日新聞)》

 

学校を卒業して約10年でしょうか。一人前に仕事ができているかはわかりませんが、これからも興味を持ったものは貪欲に吸収して、
自分を表現できるカメラマンを目指したいと思います。

 

(日本映画学校 映像科7期生)

 

>> 映画「伊賀の乱拘束」オフィシャルサイト

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