2009.09.01

Category:学生

「大人様様」浅見佳史 (映像科3年)

 

『おこちゃまだね~』
私の言動と人間性を見て、担任の監督講師が言う。

 

20歳にもなって、そして来年この学校を卒業し、働いていくっていうのにも関わらず、そんな言葉を言われるとは思ってもいませんでした。私は「20歳になった」という意識だけで、てっきり大人の仲間入りをしたと勘違いしていたのです。

 

誰かに注意されないとすぐ付け上がったり、逆上(のぼ)せたりしてしまう事がよくあるんです。注意されて、怒られてやっと気付くみたいな。
『飛行機に引っ張られて離陸し、上昇気流を利用して飛ぶ滑空機のグライダーのように、自分だけでは進めず、誰かに引っ張られなければ前に進む事ができない“グライダー的人間”とそうでない人間がいる――』
担任の監督講師の方がいつかの授業でおっしゃっていた事があります。私はまさにその“グライダー的人間”だと思いました。誰かに注意されて初めて失態に気付き、アドバイスをもらい、前に進んでいくという“グライダー的人間”の模範中の模範が私なのです。そういった意味でも“おこちゃま”という事なのでしょう。
それに気付かされたのが入学3年目でした。
私は“おこちゃま”を卒業できないまま、この学校を卒業していくのでしょうか。

 

“おこちゃま”と言われて今まで生きてきた20年間、私は何をしてきたのだろうと考えました。
しかし、過去を振り返って、「あの時がいけなかったんだ、この時ああしていればよかったのに・・・」なんて思っていても仕方がありません。
当たり前ですけれど、この先、または今を私がどのように生き、どのように成長していくのかという事が、“大人”への道に繋がっているのだろうと思います。
学校生活の集大成である卒業制作で、少しでも“大人”に近づければいいのになぁ・・・。
“大人”になるのも簡単じゃない。

 

さっきから“大人”だの“おこちゃま”だのと何を訳のわからない事を述べているんだと思う人がいるかもしれませんが、私にとってはこれからの人生を歩んでいく上で、大きなテーマになりうる事柄なのです。

 

嘲笑されてもおこちゃま呼ばわりされても、この学校に入学して3年目になる私だけれど、今まで1度も辞めようと思った事や、後悔した事はありません。寧ろ、何としてでもこの映画の世界で生き抜いていこうと思う今日この頃です。

 

(日本映画学校 俳優科22期生)

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