2009.12.15

Category:OB

「頑張るだけじゃダメ」大島翠(女優)

 

今年の春に映画学校を卒業した。俳優科での二年間は私にとってとても濃くて人生を変えられたと言っても過言ではない。

 

しかし特別演技がうまくなったわけではない。
ビデオエチュードでは私のせいで1シーン全部が撮り直しになったし、卒業制作だって「お前だけ駄目だな」と監督に言われる始末。
カリキュラムが進むつにつれてうまくなる子はうまくなるけど私はそうじゃなかった。
最後の卒業パフォーマンスだって個人的にはぼろぼろだった。講師から出るダメ出しのレベルの低さに情けない気持ちでいっぱいになった。「頑張ってうまくなる子はいいけど頑張ってもうまくならない子はどうすればいいんだ」と悲観していた。
しかし結果がどうであれ「一生懸命やっている自分」が好きで、それが生きがいみたいで過程だけで満足している自分がいたのも事実だった。

 

そんな私が11月11日~15日まで「ザムザ阿佐ヶ谷」という小劇場での公演に参加させてもらった。今までやったことのない役で、自分の人生経験ともかなりかけ離れていた。通し稽古を何度もする劇団だったので、その度に「わかったかも!」「いや、やっぱりわからない」を繰り返していた。そして迎えた本番だが、正直全部はわからなかった。悔しかった。
わからなかったことよりも、その状態で千秋楽を終えてしまった自分に腹が立つ。もちろん手を抜いたわけではない。一生懸命やって「頑張ったね」という声も掛けてもらった。

 

でも自分の精一杯を出したって、それは今までの自分でしかないのだから何も変わらない。ただの自己満足でしかなくて、一生成長しないことになる。
卒業してから舞台に出るのはこれで二回目だが、これらの舞台を通してやっと意識が変わった。

 

私の駄目さを一番知っているのは私だと思う。
でも知ってるだけでは意味がない。その駄目な部分をどう変えていくか。
一生懸命頑張るなんていうのは当たり前のことで「頑張ったね」ではなく「良かったよ」って言ってもらえるようにならないと。
何を今更、という感じだがすごく大切なことだと思う。

 

次は春に舞台に出る予定。一つ終える度に必ず成長する、自分にそう誓った。

 

(日本映画学校 俳優科22期生)

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