2010.03.30

Category:学生

「一年の終わりに」峯田秋桜美(映像科1年)

 

この学校に来てもうすぐ一年が経つ。

この一年で私は、たくさんの「できない」にぶつかった。

 

自分の考えを人に言葉で伝えることができない。

人の話をうまく飲み込むことができない。
主人公のシャツの色が決められない。
いきいきとした脚本が書けない。
露出計の使い方がわからない。
録音機にテープを巻き付けられない。

 

数え出したらきりがない。

 

そして今までは、その「できない」事はやらないことにしていた。

他にそれをできる人がいるんだから、その人がやって、
自分は自分のできることをできる範囲でやって、輝けばいいんだと。
その方が周りに迷惑もかけないし、自分が落ち込むことも無い。
それがスマートな生き方というものだ。
ちょうどサイズの合わない靴を無理して履かないように。
思えば、ここに来る以前から知らず知らずのうちに私はそうやってきた。

 

でも、私にできることなんて無かった。

ただの一つも。
自分にぴったりの靴なんて存在しない。
私は裸足のまま、学校をうろついていた。
世間を。世界を。
痛い、苦しい。どうしたらいいかわからない。
どこへ行けばいいかわからない。
全然スマートじゃない。

 

そうスマートじゃない。

でも、それでいいんじゃないか?
できないことに手を出して、
蹴られて、殴られて、にらまれて、怒られて、
人にたくさん迷惑をかけて。
自分もいっぱい傷ついて。

 

そうするために、私はこの学校に来たんだ。

だって、その方が面白いから。

 

例えば、あと百年もしたら、私は土の中で、

私が生きていたことを覚えてる人なんていなくて
その証拠だってなくて、そんなことはどっちでも良くて、
それでも地球は回っている。

 

だったらもう、生きてる間に人生面白がるしかないじゃないか。

 

これまでの実習を通して思った事。

どれだけその作品を面白がれるかで、
どれだけそれが面白くなるのかが決まる。
そして、せっかくだから面白い映画を作りたい。
映画が無くても人は生きていけるのに、
わざわざ作るんだから。

 

この不透明で不愉快な世界に潜む、

ある瞬間、ある感情をフィルムに焼き付ける。
それがどんなものかはわからないけれど、
そうせずにはいられないんだと思う。

 

(日本映画学校 映像科24期生)

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