2010.04.06

Category:学生

「香港のポリスアクション」 游逸生 ユウ イツセイ (1年映像科)

 

香港から、日本で留学する人間は少なくないと思います。
でも、僕のように「映画の勉強をしている香港の留学生は珍しい」と、自慢できます(笑)。
このブログを機会に、「香港人として、好みの香港映画を皆さんに紹介しよう」と決めました。

 

香港の映画業界は、かつてハリウッドとボリウッド(インド映画)と並び、
世界3大映画制作地でした。映画というのが、お金を儲けられるビジネスだということは、
香港人の普遍的な考え方です。
そういうわけで、香港ではコメディー映画とアクション映画が盛んに作られました。
そう簡単に結論づけることはできませんが、香港政府は映画業界に全く援助せず、
香港の市場も小さいし、「香港は文化の砂漠だ」といわれたこともあります。
要するに、企画段階で赤字になる可能性があれば、資金のやりくりが非常に難しく
なります…(関係ないことは言い過ぎました)。
とにかく、「芸術性が備わり、興行成績も良い映画」のことは、勉強すべきではないか、
と思います。

 

次の2本は、僕の大好きな映画監督の一人、香港のジョニー・トーの作品です。

 

●「PTU」
ある刑事が拳銃をなくしたことをめぐって、一晩中の話です。
PTUというのは、Police Tactical Unitの略、香港警察の特別の部隊のことで、
街の巡回からテロの防止まで、様々な事情に対応できるように訓練されたエリートです。
刑事、PTU、一般の巡査、ギャング、違う背景の人たちを一晩の出来事で繋げてみせて
社会性をもたせた映画です。
僕は、映画の中に漂っている異様な雰囲気に注目しています。
舞台みたいに、人物はまるでスポットライトに当てられているかのようで、
広角レンズで撮られた画は妙に歪み、キャメラの演出に緊迫感があるように感じました。

 

●「ブレイキング・ニュース(中国語:大事件)」
警察と強盗団が、それぞれテレビ中継を利用し、自らの目的を果たそうとするストーリーです。
最初の銃撃戦は、7分のワンショットで、しかも本番は一回だけで完成した、本当に感動しました。
なんともすばらしいキャメラワークだと思います。
マスコミの価値を再認識という趣旨は、物語の進行とともに言及していきますが、
ハリウッドの「マッド・シティ」のように、大まかな道徳問題として扱われるではなく、
ただごく小さい問題として、香港のような狭く、小さな都市では、マスコミがどのように
香港人に影響を与えているのかということを物語っています。

 

是非、この2本は皆さんに鑑賞して頂きたいです。
さて、香港のポリスアクション映画に興味がある、または見たことがある皆さんに、
少しだけ香港の情報を提供したいのです。

 

それは、
1)香港の警察は、常に拳銃を携行します。
2)香港の犯罪率は日本より低い、映画は映画、現実は現実です(笑)。
3)最近(この10年間)、映画みたいな銃撃戦は、まったくない。
僕の記憶で、10年間で、10件以内です。
4)香港人にとって、一部分の警察(やくざの捜査課など)は、やくざみたいな手法で捜査することも
あり、よく「免許があるやくざ」といわれました。それを知っておいたら、映画の中に描かれた
刑事などの性格も理解できるようになります。
5)最後、香港の治安はきわめて良好です。是非旅行してみて下さい(香港のアピールです)。

(日本映画学校 映像科24期生)

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