2010.04.10

Category:OB

「一瞬」ソリタリア勝呂洋介(俳優科卒業)

 

三月九日。
マセキ芸能社新人ライブに出させて頂く事と相成り。
緊張はしていた。でなければ本番中にテンパったりしないもの。
咬んだりしなかったはずだもの。
あの本番で自分が小心者であることが大いにわかった。
私はチキンです。
いや、ただの愚か者だったのかも。

 

楽屋で着替えたあと、相方がネクタイを締めて待っている間に
星野卓也さんから『座ってどうぞ』と言われて、
二つ返事にどうもと座ってしまうと、
あとで相方はお前すげえなと驚いた。
そういう時は自分は新参者なので、って断るものだとも言われた。
そして星野卓也だ星野卓也だ、と相方は興奮していた。
本当に俺の相方はすごい。

 

俺の気はきっと全部合い方に向いてしまっていたんだ。
ネタも相方が作るし、練習中全てダメだしは相方から飛んでくる。
そしてこのこだわりにしろ指摘にしろ、的確なのだ。

 

漫才実習は本当に練習しかしてなかったような、そんな感覚に陥る。
事実頭より体のほうが凄く使われていたのではなかろうか。
そんな練習を経て、観客は大いにウケて笑い出し、舞台を下りて、袖で相方が
「よかった、みんな笑ってくれたな」
と安堵と歓喜の顔を見せるのだが、俺はそれを隣で当たり前だと返したのだ。

 

(日本映画学校 俳優科22期生)

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