2011.05.10

Category:学生

「妄想について」澤村開(日本映画学校 映像科3年)

 

最近考えてること。

 

映画や漫画、小説は世の中いろいろあるけれどもそれらは一体なぜ生み出されるのか?
録音部のアニキ若林さんは模倣から作品は作られるといった。
確かに衝撃を受けたものに影響され人は物を作る。

 

ただ、俺は映画やアニメーション(以下アニメ)においては自分の妄想を形にしたくて作られるんじゃないかと思う。
故・今敏氏のアニメ「妄想代理人」を観てさらにそう思うようになった。

 

「妄想代理人」のストーリーには妄想は関わってくるが「妄想代理人」というものが出てこない。
少年バットという怪人物が登場し、悩みを抱える者に暴行を加えてひと時の逃避をさせるのだが彼は妄想の代理人をしているわけではない。
主人公の刑事たちにしても重要人物である月子という女にしても「妄想代理人」という名前が引っかからない。

 

では「妄想代理人」とは誰か。答えを探してみたところ、答えはこのアニメのクリエイター達であった。

 

納得してしまった。

 

確かにそうだ。
ドキュメンタリーなどは違うが、映画やアニメは自分の中の世界を映像にしているものがほとんどだが結局はすべて成功譚だ。
ああなったらいい、こうなったらいいで作られている。普通の何もおきない映画やアニメなど誰が見たいか。
観たいのはそれぞれが思い描いてる妄想だ。

 

映画やアニメは悲しい妄想にしても明るい妄想にしても人を殺しまくったりエッチな妄想にしても全て映像にして妄想を代理してくれる。
まさに妄想代理人だ(人ではないが)。

 

そんな事を考え、俺はやっぱり映画やアニメ、漫画は妄想から出来てくるものだという結論に至った。
他は知らないが俺の場合妄想の話ばっかり書いてることだし。

 

そう考えると俺含む映画学校生も「妄想代理人」じゃあないんだろうか?
なんだかかっこいいじゃないか・・・・・・

 

なんだか後半判然としない話になってしまったが自分の仕事がかっこよく思えてきたのでよしとしよう。

 

(日本映画学校 映像科24期生)

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