2011.09.27

Category:OB

「私信」大田怜治(俳優)

 

映画学校を卒業する時に師匠・山本隆世はぼくに「歩を緩めるな」と言ってくれた。

 

卒業したといえどまだ役者としてはタマゴ以下、ペーペーもいいとこのぼくは
く”うまくいかない”という事態に陥る。

 

なぜこうも身体をコントロールすることが出来ないのだろう?
なぜこうも味気ない言葉しか出てこないのだろう?
おれは2年間映画学校で何をやっていたのだろう?
と。

 

なぜおれはこんなにダメなのだろう?今でもよくそう思う。

 

しかし諦めるわけにはいかない。単純に、なんか、イヤなのだ。

 

最近、そういう場合は出来るだけ自分の中の卑屈な考えを「殺す」ようにしている。
「俺は出来る!やれる!」みたいな事を考えるのはガラではないのでやらないが、
かといって「俺みたいなカスは…」なんてと卑屈に開き直るわけでもない。
というかこれをやると逆に監督や演出家から殺されてしまうから怖くて出来ない。
とにかく、単純に、「消す」のだ。

 

そうして一旦頭をクリアにして「やるべきこと」みたいなものを整理して挑むと、
意外と手ごたえを感じることがたまにある。
おかげで芝居をしてて「楽しい!」と思える瞬間も増えてきた。
もちろん出来なくてキツくなる時も多いが。

 

少しずつだが歩を進めていけているのだろうか。だとしたら嬉しい。

 

***

 

10月に820製作所(はにわせいさくしょ)という劇団の本公演に出演させて
いただくことになった。

 

劇団との出会いは在学中まで遡る。
音響ゼミ講師の丸池嘉人さんがスタッフで、誘われて観にいったのがきっかけだ。
主宰の波田野淳紘さんとはその時に少し話しただけで次回公演を観に行くまで
半年近く会っていなかった。

 

その半年後、次作の公演時に会った時、波田野さんはぼくの名前を覚えていてくれた。
その時は挨拶くらいしか出来なかったが、その2ヶ月後に、波田野さんはぼくに
「一緒にやりませんか」と言ってくれた。
「袖振り合うも他生の縁」というが、本当に人の縁というものはどこでどう転がるか
分からない。

 

***

 

映画学校での2年間から始まる沢山の人達との出会いに助けられ支えられてきた。
本当に「繋がり」というものに救われていると思う。
そのおかげで今、役者を続けさせてもらっている。

 

歩を緩めるな」。

 

とりあえず、歩き続けていられれば。
そして徐々に加速できていければ。今はそう思っている。
動けば、変わる」。
みつをさんだってそう言っている。頑張りたい。

 

(日本映画学校 俳優科24期生)

 


劇団820製作所 
第11回本公演
つばめ/鳥を探す旅の終わり

 

 

2011.10.7 fri-11tue

 

820製作所の「鳥を探す」シリーズ第三弾!

 

こどもたちは、四昼夜脱走した後、郊外のスーパーマーケットで呆気なくつかまった。
自ら110番へ電話をかけた理由を彼は「寂しくなった」からだと答えた。
――砕かれた心をポケットに拾い集めて。
この世界を逃走するこどもたちのものがたり。

 

公演スケジュール
2011年10月7日(金)~10月11日(火) 
7日(金) 19:30
8日(土) 14:00/19:00
9日(日) 14:00/19:00
10日(月)15:00
11日(火)15:00

 

公演会場
SPACE雑遊 >>> MAP
(地下鉄 都営新宿線 新宿三丁目駅C5出口目の前、JR新宿駅 東口より徒歩10分 )

 

チケット料金
前売・当日共/3,000円  学生/2,700円

 

出演
佐々木 覚
加藤 好昭
印田 彩希子

 

大谷 由梨佳
洞口 加奈
大田 怜治
宮脇 由佳

 

渡辺 幸司

 

櫻岡 史行(Polka dots)
福原 龍彦(CASSETTE) ほか

 

スタッフ
作・演出:波田野 淳紘
舞台監督:アーティザンステージワークス合同会社
音響:丸池 嘉人
音響助手:原 みさほ
照明:古川 睦子
音楽:加納 由紀子
宣伝美術:松村 翔子
舞台写真:紀 あさ
WEB管理:澤瀬 暁子
制作:薄田 菜々子(beyond)
企画・製作:村岡 あす香(Polka dots)/820製作所

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