2011.10.11

Category:学生

「言と事を学び、作る。」イ・ミノ(日本映画大学 1年)

 

「昔の韓国の姿を知りたいですが。」
「じゃ、泥を追いかけてください」
「泥って言いますと?」
「昔の韓国映画を見れば、泥の跡が残ってるので、それを追いかけてください」

 

ある日、ブログの友人に言われた事。
韓国の社会は昔も、今も消そうとしても消すことができない泥の跡が残ってる。

 

日本の植民地だった時の「軍国主義」、
朝鮮戦争の時、ぶつかり合った「資本主義」と「社会主義」。
そして、70年代、80年代の「軍事政権」。

 

主義と政権の混乱により、人の尊厳性が薄くなって、
結局、人間の尊厳性が守られることが出来ず、
映画「ペパーミント・キャンディー」の主人公”ヨンホ”のように、
今の韓国の人は”純粋”という彼らの姿を失しなってしまった。

 

私が日本映画大学に入学したのは、
その泥の跡を追いかけるため、そして跡を追いかけると共に、
我が学校の創立者、今村昌平先生(監督)の「人間勉強」をもっと詳しく学ぶため
であった。

 

そして、この学校に入学して半年間。
ここで「人間勉強」という目的を達成しているのか、自分に問いかけてみる。

その自分に対する質問に「さぁ。。わからんな」と、いい加減な答えが帰ってきた。

 

自分が追っかけてた泥の跡を正しく追いかけてるのか、
「人間勉強」はちゃんとしてるのか、さすがに半年で分かる訳がない。

 

人間が犯した間違い、人間が作った葛藤、人間の喜び、人間の幸せ。
映画や授業を通して、人間の感情、人間が歩んできた過去という道を
一緒に歩んでみてもまだまだ人間というものは解けない謎と同じだ。

 

しかし、泥と人間ををだけを追いかけてた私は、非常に大事なことを
忘れていることが分かった。

 

それは、自分が作り手であること。
プロでもないし、今こんな言をいうのも、本当のプロに対して非常に
失礼なことだと思う。

 

作ることを怖がってた私、
ふと気付いてみたら、作ることを楽しみにしている自分に変わってた。

 

人間を勉強するのも非常に面白いことだが、
人間を作り、「人間商売」をする未来の自分の姿を想ってみると、
ワクワクして堪らないぐらいだ。

 

「作り」を怖がってた私、
ここで自分の考えを持ち、出会いを怖がらない勇気を学んだ。

 

ここには自ら今村先生に心酔している仲間たちと先生達、
そして、人間尊重を尊重してる人間臭い人たちがここに残ってる。

 

これからの3年間も、この人たちと人間の勉強を励んでみたい。

 

( 日本映画大学 映画学部 1期生)

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