2013.07.16

Category:OB

「ギュッとなる瞬間」  吉野竜平(映画監督)

日本映画学校では撮影・照明コースを専攻していた自分ですが、3年の卒業制作(3科合同)で監督を

任されることになりました。
コンプレックスの塊のような、さえない塾講師の女の子と、恋人にふられ、家と仕事を無くした
中年のオカマちゃんが一つ屋根の下、奇妙な共同生活をする、『月のかげ』(脚本は脚本ゼミの
生徒)という中編映画。
この卒制作品は、映像づくりの快感、というものを初めて体験した、ヘタクソだけれど、
自分にとってはとても大切な一作です。

その快感がどんなものなのか、上手く言葉では表現できないのですが、現場で役者さんの

芝居を撮っているとき、その空間の空気がギュッとなる瞬間があります。
演じている役者さん、撮っているスタッフ、みんなの意識が一点に集中し、ギュッとその場の
空気が圧縮され、濃密になる。
目の前の現実を突き破って、嘘が本当に生まれ変わる、息を呑む瞬間。
苦しくも爽快な、自分にとって未知の快感でした。

それまで、ストーリーをなぞること、カッコイイ映像を撮ることばかりに気が向いていた自分が、

役者の芝居を撮る、という面白さに初めて気づいた瞬間でもありました。
主演の石井玲未さん、川瀬陽太さんには、今でも感謝しています。

その後、映画学校を卒業してから、バラエティを撮っていても、ドキュメンタリーを撮っていても、

ミュージックビデオを撮っていても、求めているのは、そのギュッという感覚だった気がします。
しかし、ごく稀にしかそのギュッと出会えないところが、自分の未熟なところなのですが…。

映画をつくりました。

『あかぼし』という題名です。

夫の蒸発をきっかけに精神のバランスを崩して人間不信となり、新興宗教にのめりこんでゆく女と、

自分の感情を押し殺しながら、そんな母親に寄り添い、見守り続ける息子の物語。

中毒性のある、あのギュッの瞬間が味わいたいがために、日本映画学校を卒業して3年間、

映像業界の片隅で働き、貯めた資金で撮った、自主制作の長編映画『あかぼし』。
8/3(土)より、新宿K’sシネマで四週間のレイトショー上映です。
よろしくお願いします。

そして5年以上前の卒制作品、『月のかげ』も、同じく新宿K’sシネマで7/17(水)に上映されます。

押入れの奥から、久しぶりに日の目を見る『月のかげ』。
7/17(水) 19:00~、一度きりの上映です。是非!

(日本映画学校 映像科20期生)

『あかぼし』

8/3(土)より、新宿K’sシネマにて四週間レイトショー上映。
公式サイト:http://akaboshi-movie.com/

『月のかげ』 (日本映画学校映像科20期卒業制作作品)

7/17(水)19:00~、新宿K’sシネマにて上映。
吉野監督の過去の短編作品『はなさか』と併映。
上映後、監督と『月のかげ』主演の俳優・川瀬陽太さん(「サウダーヂ」「ヘヴンズストーリー」)の
トークショー有。

詳細:Movies-High13 (http://www.ncws.co.jp/support/mh13.html)

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