2013.08.06

Category:学生

「時の流れを感じて」岸 亜矢(日本映画大学 2年) 

 

私は2年の岸 亜矢と申します。

去年、社会人としてこの大学に入学しました。

このお話を頂き、正直何を書いたら良いかと悩ましたが、先日、友人たちと一緒に約4年ぶりに自分が働いていたお店に行った時の事を書こうと思います。

 

私は、去年の3月まで大手の居酒屋チェーン店に約7年間勤めていました。

この期間で居酒屋業界に起きた2大事件といえば、東日本大震災と2006年に起きた福岡県の飲酒事故から始まった飲酒運転禁止の強化です。

 

今回は後者を中心に書きたいと思います。

私が訪れたお店は、現在「業態A」が展開している「A店」と言います。
しかし、私が4年前に配属された時は、今は幻になった「業態B」が展開する「B店」でした。
「家族が来られる空間を提供する」というコンセプトで作られた「業態B」は当時、関東圏内に10数店舗ありました。

 

「業態B」には2つのタイプがあり、1つは駅前タイプ、もう1つは自動車でも来店可能な郊外タイプでした。

B店は前者の方でしたが、事故後、後者の店舗が飲酒運転防止の風潮を直に受けたため、「業態B」は全体的に非常に苦しい営業を強いられました。

 

私は後者のお店にも配属されたのですが、自動車やバイクで来店していないかと駐車場、駐輪所、あるいは駐車券を毎回チェックしていました。

法の厳罰化で、お酒を提供し店員も逮捕されるようになり、営業停止になる店が出てきてからは、社員もアルバイトさんもすごく緊張しましたね。

 

全く予期せぬ話でしたから。マニュアルも当時はまだ確立されていなかったため、従業員は皆お客さんの反応を見ながら手さぐりでやっていました。

しかし「風習」と言うのは簡単には抜けないものです。
店員が飲酒運転はダメだと言っても「絶対事故起こさないから」とか「4~5時間仮眠すれば構わないだろう」とか「明日会社に乗って行かないといけないから堪忍して」とか。

 

勝手な理由を付ける人がいるわけです。

運転代行を勧めてもダメ、タクシーもダメ。で、店員も考える。
「駐車券の発行ができません」とか、
「駐車場の遮断機が壊れました。修理は明日の朝です」とか。

 

それでダメなら警察のご登場となるわけです。

そんな事が事故から約4年間は続きましたね。
最終チェックをするのは全て会計担当なので、おかげで誰も会計に立ちたくなくなりました。

 

ようやく世間に飲酒運転禁止が浸透するにつれて「業態B」の需要も無くなっていきました。

そこで会社が新たに開発したのが料理をメインにした「業態A」でした。
「業態A」が軌道に乗り始めると「業態B」が消えるのは早かったですね。
時代の移り変わりってこんなものかとつくづく感じました。

 

映画の構成を考える上で登場人物の過去を作ることは物語の展開を考える上で重要な要素です。

また人物以外にも登場する「物」や「場所」が「なぜ今そこにあるのか」という事を作るのも物語の根幹に繋がります。
例えば私がA店の映画を作る時、作品の中に登場させるかは別として、過去のB店の存在を踏まえないわけにはいかない。

 

過去を知って現在に見えてくるものがある、視点が変わってくるのだと感じました。

それを未来の物語に繋げるのか、また違った次元の物語に繋げるのかは作り手次第だと思います。
いずれにせよ「もっと物事を深く知らなければいけないという事だなぁ」と真新しいお店の行燈を見ながら思いました。
皆さんもこれからいろいろな場所に行かれると思います。例え名がない場所であったとしても少しだけその場所の過去について考えて見てください。
自分が思いもしなかった事が表れてくるかもしれません。それでは、ご精読ありがとうございました。
(日本映画大学 2期生)

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