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手紙と映画~拝啓、スクリーンの前のあなたへ~|アルテリッカしんゆり2021 日本映画大学 学生企画上映会

2020年に新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令され、人々は外出自粛となり、その影響で友達や恋人、遠く離れた家族にも会えなくなってしまった。しかし、現代の世の中は便利なもので携帯電話があるため遠く離れていても連絡が取れる。

だが、思い出してほしい、手紙という感覚を。相手のことを想像しながら文章を書いて送る。その手紙が相手に届いたのだろうか、相手からの返事はまだなのだろうかとドキドキするあの時間。そして、ようやく自分が送った手紙に対する返事が相手から返ってくる。それを現代の日本人にもう一度味わってほしい。確かに、携帯電話でも出来るじゃないかと思う人もいるだろう。だが、文字から伝わってくる気持ちが全然違うのだ。例えば小さな子供から送られた

手紙と、メールやLINEでは感じ取れるものが明らかに違う。手紙の方が手書きのため一生懸命に文字を覚えて書いてくれたんだ、自分のために書いてくれたんだと温かい気持ちになる。

さらに、携帯電話での連絡が当たり前となり、単純作業となっている世の中で、手紙を書くという行為はある意味古き良き文化を体験できることではなかろうか。あえて手間をかけて、時間をかけることによって自分の想いを伝えられるし、相手の想いも伝わってくる。手紙は私たち人間と同じく色々な感情を持っている。喜びだったり悲しみだったり、時には怒りだったり。でもそれは、私たち人間の手によって感情が生まれるのであり、元々手紙というのは無感情なものである。その無感情な手紙に私たちが手書きで命を吹き込むことにより感情豊かな手紙というものが生まれるのだ。一通だけでもいい。紙とペンを持って机に向かう時間を楽しんでほしい。

今だからこそ、そんな奥ゆかしい「手紙文化」に彩られた映画たちにもういちど会いたい。

企画リーダー:日本映画大学 身体表現・俳優コース4年
西園拓矢
企画メンバー:王天禹、上岡玄、篠田君明、須藤瑞希、髙木小春、髙橋実奈

日本映画大学の3年生が受講する「上映企画ワークショップ」では、学生たちがテーマを決めて上映会の企画を練り、作品選定、ゲスト交渉、広報宣伝なども自ら手がけ、総仕上げとして川崎市アートセンターで上映会を開催しています。これまで毎年2月に「団地」「夫婦」「親子」「ディストピア」「ライブ」といったテーマの特集上映を行ってきましたが、今回からアルテリッカの一環として5月に開催することになりました。お題は「手紙」。劇中で手紙が効果的に使われる9作品が並びます。お楽しみください。

日本映画大学 教授・映画学部長
東京国際映画祭シニア・プログラマー
石坂健治

5.14[金] 日本映画Day

  • 14:25
    キサラギ
    キサラギ

    監督: 佐藤祐市
    出演:小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之
    2007/日本/108分/アメリカンビスタ/35mm

    不可解な自殺を遂げたマイナーアイドル・如月ミキの一周忌にファンサイトを通じて集まった5人。思い出話で大いに盛り上がるはずだったが、「彼女は殺されたんだ」という言葉を境に彼らはミキの死の真相を巡って怒涛の推理を展開していく。果たして、5人のたどり着いた真相とは。個性豊かなキャストで送るミステリーコメディ作品。(上岡)

  • 16:45
    配達されない三通の手紙
    配達されない三通の手紙 ©1979松竹株式会社

    監督: 野村芳太郎
    出演:栗原小巻、小川眞由美、松坂慶子、片岡孝夫、竹下景子、渡瀬恒彦、佐分利信
    1979/日本/131分/ビスタサイズ/35mm

    原作は米国の推理作家エラリー・クイーンの小説『災厄の町』。脚本は新藤兼人、監督は野村芳太郎、撮影は川又昴がそれぞれ務めた。とある上流家庭で起きた三姉妹が絡む殺人事件を描いた作品。ある日発見された日付の違う3通の手紙…これは一体。「犯人捜し」のスリルとサスペンス。(髙木)

5.15[土] アジア映画Day

  • 14:10
    海角七号 君想う、国境の南
    海角七号  君想う、国境の南 ©2008 ARS Film Production. All Rights Reserved.

    監督:ウェイ・ダーション
    出演:ファン・イーチェン、田中千絵
    2008/台湾/130分/シネマスコープ/35mm

    『タイタニック』に次いで台湾歴代映画興行成績のランキングで2位に入る名作。台北でミュージシャンになりたい青年、阿嘉アガは、挫折して故郷に戻る。郵便のバイトを始めた彼は、日本統治時代の古い手紙を見つける。それは、敗戦で日本に戻った日本人教師が、恋人の台湾女性に書いた7通のラブレターだった。阿嘉は歌手の中孝介と日本人スタッフ友子に出会い、無理やりバンドメンバーにされて、ライブの準備をしながらも手紙を宛名の女性に届けようとする。そして物語は奇跡へと向かう。(篠田)

  • 16:50
    自由が丘で
    自由が丘で ©2014 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

    監督:ホン・サンス
    出演:加瀬亮、ムン・ソリ、ソ・ヨンファ、キム・ウィソン
    2014/韓国/67分/アメリカンビスタ/DCP

    韓国の巨匠、ホン・サンス監督が描く日韓ストーリー。日本からソウルに渡り、韓国人の恋人を追いかける日本男児の物語。しかし、彼女は見つからず、日記のような手紙を書き始め、彼女に送り始める。ソウルの街を歩き回り、色々な人と出会う。ゲストハウスのアメリカ人、カフェの女主人。ゆっくりと過ごす彼は愛する女性に出会えるのか。(篠田)

5.16[日] アニメDay

  • 14:10
    ももへの手紙
    ももへの手紙 ©2012『ももへの手紙』製作委員会

    監督:沖浦啓之
    声の出演:美山加恋、優香、西田敏行
    2012/日本/120分/ビスタ/DCP

    ももは喧嘩して仲直り出来ず、その日に事故で亡くなった父親の残した「ももへ」とだけ書かれた手紙を持って、母親のいく子と共に、いく子がかつて住んでいた瀬戸内の小さな島に移り住む。ももは父が亡くなったことを受け入れられず、島の人となかなか打ち解けられずに馴染めないでいた。そんなある日、ももの前にイワ、カワ、マメという3匹の妖怪が姿を現す。沖浦啓之監督が7年かけて制作した、笑って泣けるハートフルなアニメーション映画。(西園)

  • 16:40
    ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -
    ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 - ©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

    監督:藤田春香
    声の出演: 石川由依、寿美菜子、悠木碧、子安武人、内山昂輝、遠藤綾
    2019/日本/90分/シネマスコープ/DCP

    日本のみならず世界中で大きな反響を得た『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。代筆を通して相手の心の奥底にある素直な気持ちに触れるヴァイオレット・エヴァーガーデン と大切なものを守るために、自分の未来を売り払ったイザベラとの物語。二人の少女の出会いが、別々に選んだ未来を結びつけていく。(須藤)

5.17[月] インド + 欧米Day

  • 12:00
    めぐり逢わせのお弁当
    めぐり逢わせのお弁当 © AKFPL, ARTE France Cinéma, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm — 2013

    監督:リテーシュ・バトラ
    出演:イルファーン・カーン、ニムラト・カウル、ナワーズッディーン・シッディーキー
    2013年/インド・アメリカ・ドイツ・フランス/105分/シネスコ/DCP

    夫婦関係が上手くいっていないイラは、夫の愛情を取り戻すために美味しいお弁当を手作りしてダッバーワーラー(弁当配達人)に届けて貰うことに。しかし、そのお弁当が手違いにより、早期退職を控えたサージャンの元に届けられてしまう。返ってきた空の弁当箱に喜ぶイラだが夫の反応に違和感を感じ、次の日お弁当箱に手紙を入れて再びサージャンの元へ配達させる。その日からイラとサージャンの文通が始まる。(西園)

  • 14:15
    手紙は憶えている
    手紙は憶えている ©2014, Remember Productions Inc.

    監督:アトム・エゴヤン
    出演:クリストファー・プラマー、マーティン・ランドー、ブルーノ・ガンツ
    2015/カナダ・ドイツ/95分/ビスタサイズ/DCP

    認知症で介護施設で暮らすゼヴは、同じ施設にいる友人マックスから1通の手紙を渡される。手紙には、2人はアウシュビッツ収容所からの生還者で、君は我々の家族を殺したナチスの兵士を探し出して復讐すると誓った、と書かれていた。手紙と微かな記憶を頼りにゼヴは旅に出るが、そこには衝撃の真実が待ち受けていた。(髙橋)

  • 16:20
    ゴッホ 最期の手紙
    ゴッホ 最期の手紙 ©Loving Vincent Sp. z o.o/ Loving Vincent ltd.

    監督:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン
    出演: ロベルト・グラチーク、ダグラス・ブース、ジェローム・フリン、シアーシャ・ローナン、ヘレン・マックロリー、クリス・オダウド、ジョン・セッションズ、エレノア・トムリンソン、エイダン・ターナー/スタンダード
    2017/ポーランド・イギリス・アメリカ/95分/DCP

    62,450枚の油絵を繋ぎ合わせたアニメーション映画であり、唯一無二の表現技法で描かれたのは、ゴッホという狂人、好色家、天才といった様々なレッテルが貼られた芸術家の生涯とその死であった。亡くなったゴッホが遺した一通の手紙を巡って、その死に隠された不可解な事実が明らかになっていく。(王)

「手紙と映画」ほど魅力的なテーマは他にありません。手紙は映画の表現手段として、主人公の内面を客観化して示します。そしてそれは時間的な隔たりと遅延によって必ずや優れたドラマを作るでしょう。時代とともにその役割と形態を変えていく「手紙」の現在を見たいものです。

田辺秋守
[日本映画大学 教授(哲学)]
やむを得ない事情により、上映スケジュールの一部またはすべてが中止になる可能性や、座席数に制限を設ける場合があります。
お出かけの際は、川崎市アートセンターホームページ、または直接お電話にてご確認ください。

5.14[金]

14:25キサラギ108分
16:45配達されない三通の手紙131分

5.15[土]

14:10海角七号 君想う、国境の南130分
16:50自由が丘で67分
※終映後トークショー:西森路代[ライター]×ハン・トンヒョン[日本映画大学准教授(社会学)]

5.16[日]

14:10ももへの手紙120分
16:40ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝-永遠と自動手記人形-90分

5.17[月]

12:00めぐり逢わせのお弁当105分
14:15手紙は憶えている95分
16:20ゴッホ 最期の手紙95分
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川崎市アートセンター

川崎市麻生区万福寺6-7-1 http://kac-cinema.jp

小田急線「新百合ヶ丘駅」北口より徒歩3分 ※駐車場はございません

一般・シニア・学生:1,100円
アルテリオシネマ会員:1,000円(ポイント対象外)

※各回入替制・整理番号順入場・自由席・立見不可・定員55名