2005.08.15

Category:OB

「日本アカデミー賞編集賞を受賞」宮島竜治(エディター)

 

『20世紀ノスタルジア』『ナビィの恋』『ウォーターボーイズ』
『白百合クラブ東京へ行く』『ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム』
『スウィングガールズ』『リンダ・リンダ・リンダ』他数本・・・以上の作品の共通項は≪音楽≫。

 

自分の作品歴の中にこれだけの音楽映画があるなんて、驚きです。
その中でも、『スウィングガールズ』はjazz特有の裏打ちリズムと格闘した作品でした。
編集を進めていくうちに個人的には「これでOK!」と思っていても、監督や録音からは「あと2コマずらしましょう」「いや、あと3コマ元に戻して」と行ったり来たりの綱引き合戦・・・。
クランクイン前に勉強したつもりのjazzという音楽が、いかに付け焼き刃だったか反省の日々。
しかし、苦労の甲斐あって映画は大ヒット。おまけに様々な賞も受賞し、ありがたいことです。

 

映画の編集はCGが多数ある作品以外は通常、クランクアップ後、1、2ヶ月で作業は
終わりダビングを待つだけなのですが、『スウィングガールズ』の場合は物語自体が、夏パートと冬パートに別れており、撮影も二度に渡って行われました。夏パートでほぼ八割の撮影が終了していたので編集もかなりの精度まで詰めた状態にまで持っていくことが出来、雪が降るまで待機・・・。
これが功を奏し、冬パートで再開する頃にはいい意味で冷静に作品と向き合えました。
自分が関わる作品の最初のお客さんでもある編集者にとって、この冷静になれる時期があればある程、客観的に作品を見つめ直すことが出来るのです。
音楽的要素が重要なポイントとなる映画の場合、自分自身肝に銘じていることがあります。
それは、いかに観客をリズムの波に乗せてあげて気持ち良くさせてあげられるか?
これは編集だけでなく、録音部さんの力に頼らなければならない部分もありますが、
作品の完成型に向かって行く方向がスタッフ全員同じであれば、危惧する必要ないと思います。
船に例えれば、監督は船長さん、キャメラマンは航海士、編集者は操縦士といったところでしょうか。

 

でもたった3人の船旅は楽しくないですよね。スタッフの皆さんを乗せているからこそ、責任は重大だし旅先で大勢のお客さんに迎え入れられた時の喜びが大きいのです。
『スウィングガールズ』という船はもう港に着きました、僕はまた違う船に乗って行きます。
また会う日まで、さようなら~
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