2009.10.13

Category:OB

映画「1000年の山古志」にこめた思い 橋本信一(映画監督)

 

2003年、前作「掘るまいか」を完成させた時、自分の中で本当にこれで山古志という人と地域を描いたことになるのかという思いが抜けませんでした。

 

本当に自分は山古志村のことを描ききれたのか?そして村民たちの人間的な魅力に迫れたのか? ぜひ、続編として今度は山古志のすべてを描いた映画を作ってみたい。そんな思いにかられて「掘るまいか」のプロデューサーである武重さんと進めていた映画の企画がありました。「永遠の山古志」というタイトルのドキュメンタリーです。もうすぐ契約書の調印という段階まで来ていました。

 

そんな最中、山古志村を襲った2004年10月23日の中越大震災。美しい故郷は、激しい地震の影響で家々が倒壊し、道路は寸断され、山はその地形を変えました。「永遠の山古志」の企画は当然ながら吹っ飛び、我々は長岡市内の避難所に駆けつけたことを昨日のように覚えています。

 

地震後、山古志はもう終わりだ、という声が聞こえてきました。そして、あんな山の中に戻らず、街に下りて暮らせばいいのにという声すら聴こえてきました。でも本当にそうなのか。私たちは、前作「掘るまいか」の制作時に感じた山古志の人たちの人間力を信じたいと強く思いました。そして、どんな過酷な逆境におかれても、それを粛々と受け入れ、しなやかに、したたかに生きていく山古志の人々の「生きるチカラ」を描きたいと強く決心したのです。

 

1000年続いてきたこの村の悠久の時の流れ。村人が厳しい困難を乗り越えてでも帰りたいと思う「ふるさと」「ムラ」とは何なのか。山古志の人々のふるさと復興に挑む闘いの日々を通して、その根源的ともいえるテーマに迫りたい。「1000年の山古志」はそんな気持ちを込めて作った映画です。

 

この映画を観た方々が何かを感じてくれたらこれに勝る喜びはありません。

 

>>映画「1000年の山古志」公式サイトhttp://1000yamakoshi.main.jp/

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