2010.03.09

Category:学生

「木村大作監督 日本映画の熱き想い」 中野大知(映像科2年)

 

昨年6月20日、日本映画『剣岳 点の記』が劇場公開された。

標高約3000メートルの剣岳を舞台に描かれた本作は、CGが当たり前になってきた時代に本物にこだわり、実際にその地に赴き撮影された。
そこには今の日本映画が忘れている意志が焼きついていた。
作品を撮ったのは木村大作さん。『華の乱』『火宅の人』『八甲田山』『駅/STATION』『鉄道員』等など50年以上も日本映画を牽引してきた名キャメラマンです。
僕は出身が福井の田舎なので、その雄大な自然や格調ある画に共感して魅了された内の一人です。
その木村さんが映画学校二年撮影ゼミに講義のために来てくれました。

 

とても緊張したのですが、そんな僕達の空気を感じ取ってくれたのか、すぐに場を和ませてくれました。

講義では木村さんのキャメラマンの在り方や経験、映画での裏話に至るまで様々なエピソードを語ってくれました。
特に自分の中で印象に残っているのは集中するということでした。
例えば一つの茶碗があり、一人だけが集中して見るのでなく、それに対していかにスタッフ全員がそれを見ているか。
全員が集中することで、何か新しい気付きがあるかも知れないし、異変にも対応できるかもしれない。
その映画、その現場に対してどれだけ自分が集中して入っていけるか。
キャメラマンの現場の雰囲気を作ることの重要性を知りました。

 

木村さん自ら企画した『剣岳 点の記』は撮影に二年、述べ200日以上をかけて撮られた作品です。

一から企画を練り上げ、プロデューサーに売り込み、実際に山を登り、そこに篭って撮る。
これを支える力はやはり映画が「好き」だということだとお話を聞いていて思いました。
撮影するにおいて困難なことが出てきても、これがやりたいんだ、これでないと面白くならないんだという映画への熱い想いを感じました。

 

もちろんこれだけではないと思いますがこれが一番の原動力なのではないのかと思いました。

どれだけ難しい企画、撮影でも気持ちを持って伝えるから、相手もしっかり聞いてくれるし、それだからこそ人の心を動かすことができるのだと感じました。

 

木村さんは最初に「徒労」という言葉をホワイトボードに記しました。

徒労:むだな骨折り
無駄と知りつつも精をだして働く、尽力すること。
まだ社会に出ていない自分のような20歳の若造にはこの言葉を語るには程遠いと感じました。
しかし、この言葉を一生忘れずに覚えていようと思います。

 

これから先、何回も徒労を繰り返しながら生きていきたいです。

そうする度に今回の木村さんの講義を思い出すような気がします。
今回の木村さんの講義では自分の知らなかった新しいことに触れることができました。
改めて御礼を述べたいと思います。
この講義を発案してくださった講師のさのてつろうさん。
そして、ご多忙な中来てくださった木村さん。ありがとうございました。

 

(日本映画学校 映像科23期生)

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