2010.08.17
Category:OB
サッカー選手になるのが夢だった。
大した実力がある訳でもないくせに、二十歳を目前にする頃まで、捨てきれない夢だった。
先々月、地球の裏側で若き日本人が全身全霊で戦い、そして敗れた。
蒼いユニフォームを纏った彼らの戦いに狂喜乱舞しながら、一抹の寂しさを誤魔化しきれなかった。
テレビの前にいる自分が悔しく、テレビの中の若者が羨ましかった。
そして今、目の前に全身全霊で戦っている若者がいる。
細野辰興監督の舞台「スタニスラフスキー探偵団」の出演者がいる。
真夏の稽古場で汗を流し、悩み、涙する者がいる。
今度は羨ましがってはいられない。
自分も演出助手として参加しているのだから。
戦いの場を表現の世界に移し数年が過ぎた。
どれも負け戦だったように思う。
今度こそ勝たなければいけない。
人にはやらなければいけない戦があり、その戦には勝たなければいけない。
「そうだ、怖れるな!勝負しろ!」
サッカー部のコーチの声が聞こえるようだ。
(日本映画学校 映像科18期生)
細野辰興オリジナル戯曲
「スタニスラフスキー探偵団」9月2日~5日 アイピット目白にて上演
公式HP >> http://sutanisu.web.fc2.com/