2011.02.01
Category:学生
去年、イチジクコバチという脚本を書いた。
イチジクコバチというのは、実在する小さなハチで、イチジクの実の中に卵を産みつけ、そこから孵化する。
そして、オスは実の中で一生を終える。
生まれてから、死ぬまでイチジクの実の中だ。
そんなオスの役目は一つ。
メスを孕ませ、実の外へ出すこと。
メスは、オスの開けてくれた小さな穴から実の外へ飛び立つ。
他のイチジクの実の中に卵を産みつけるのだ。
それを繰り返しながらイチジクコバチは生きている。
ものすごく小さな世界の中で、生きている。
3年前、私が高校生だった頃。
東京に来る度に泊っていたカプセルホテル。
一泊2500円。
そこでは、どこから来て、何をしてるのか分からないような人達が、並べられた穴の中に入り、それぞれの時間を過ごしていた。
なんだか不思議な光景だった。
それはまるで、虫の巣のようだった。
それから3年後。
そのイチジクコバチという脚本が映画になって、映画館で一週間上映される。
不思議な感じがする。
地元の友達は、わざわざ映画を観に、東京まで来るそうだ。
その日は、久しぶりにカプセルホテルに一緒に泊まる。楽しみだ。
(日本映画学校 映像科23期生)
イチジクコバチ >> http://www.artport.co.jp/line_up
1月29日(土)~ ポレポレ東中野レイトショー公開!
監督 サトウトシキ(映像科担任)
脚本 竹浪春花(映像科3年生)
撮影 松石洪介(2004年卒業生)
助監督 苗代祐史(2009年卒業生)