2011.04.19

Category:OB

「映画『CRAZY-IZM クレイジズム』撮りました」 松林彩(撮影)

 

「13期は変態だからなあっ!」
窪田将治監督は、我々がなんかやらかすと、こう言う。

 

プロデューサーの斉藤三保
録音の田邊茂男
撮影の松林彩

 

この映画のスタッフ、我々は、変態らしい日本映画学校の13期卒業生だ。

 

七月の大粒の雨の降る日、電話が鳴った。
映画学校の先輩、窪田将治監督が映画を撮るという。
私にキャメラをまわさないかと、言ってくれている。

 

奇しくもその日、私は就いていたキャメラマンに休業を申し出たところだった。二時間ばかりの説得合戦でヘトヘトになっていた心に、新たな嵐。休業を決めた矢先にほいほいと新しい映画の仕事を、それもキャメラマンデビューの仕事を受けるのはあまりにも軽々しいと、自分で納得がいかなかった。一度お断りしたが、その後キャメラマンが見つからなかったこと、そして撮影助手最後の映画を撮っている最中に「このまま映画から離れるのなら、最後に、まわしてもいいんじゃないか」と、湧いた気持ちに太々しくのっかり、お受けした。

 

尺80分、撮影5日。
うち、密室劇、耐久48時間撮影。

 

限られた時間に全員が全力集中。勉強になるからと無償で助手についてくれた若いスタッフ陣は、目はうつろ、顔は土気色になりながら根気よく自分の意見を飛ばしあい、よく頑張ってくれた。スタッフの多くが映画学校の卒業生で、そこには各々の不確かながら着実な自信を感じた。自信が無くても手探りで意地でも前に這いずり進もうという気力がある。そして現場には笑い顔があった。そういう中で「クレイジズム」は完成した。

 

狂気。これがこの映画のテーマ。

 

ファインダーを覗き、自分の中の狂気を感じていた。リアルな感情はフレームの中にしかない。生きているのはこちら側の自分なのに、ファインダーから目を離すと、ものすごく孤独が襲う。どうやって自分以外のことと交わればいいのか、それを感じて足がすくむ時に、私の狂気はどろりと沸き出す。

 

今、現実にリアルを感じられず、人に流され孤独を恐れて生きている人々に、この映画から何か拾っていってもらえれば、我々も変態でいる甲斐があるというものだ。

 

(日本映画学校 映像科13期生)

 

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2011年4月16日よりシネマート六本木にてロードショー!

 

劇場映画『 CRAZY-ISM クレイジズム 』

 

監督・脚本:窪田将治
出演:馬場良馬、安亜希子、植野堀まこと、標永久、土方くるみ/草野康太
http://crazy-ism.ne07.jp/

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