2012.07.24

Category:学生

「撮影部→P→撮影部」 三輪亮達 (日本映画学校 映像科3年)

 

この学校に入学してから早、三年目になる。
漠然と映画業界に入ることを志し、入学した一年目・・・・・・。
脚本→圧倒的無教養。
監督→圧倒的コミュニケーション下手。
「どれもむいていないな」
じゃあ、映画をつくるうえで、自分には何が出来るのか……自分は何が向いているのか。

 

それが「撮影」だった。

 

撮影に言葉はいらない。体を動かし、自由にキャメラを被写体に、世界に向ける、みつめる。自分の性に合っていた。二年で撮影ゼミに進み、撮影の世界にのめり込んだ。

 

そんな自分がまさか、技術三科卒業前制作実習(撮影、録音、編集ゼミが主体で行う撮影実習)で、プロデューサーをやることになるとは思ってもいなかった。
なんで、撮影部がプロデューサーを……。
技術三科実習は、監督、助監督、製作部すべての役職を技術部のスタッフがやらないといけない実習。
技術ゼミに身を置きながら、撮影部隊のためにお弁当を手配し、ロケ先に通い、頭を下げる日々・・・・・・。
実習のカメラマンに「あそこのビルの階段から俯瞰狙うから許可とっておいて」と使われ、助監督の忘れた小道具を代わりに取りに戻るといった日々・・・・・・。

 

そもそも、卒業制作を目標に三年間を過ごしてきて、撮影に目覚めた自分が目指すのはもちろん、キャメラマンだ。
そのためには、照明、露出、フォーカス、メカ さまざまなことに精通しなければカメラマンは勤まらない。
だから、実習では撮影チーフ(露出計測)、撮影セカンド(フォーカス)とさまざまなポジションにつき、来るべき卒業制作に備え技術を身に着けるぞと、思い描いていたビジョンがあった。技術三科実習は、卒業制作を前に技術向上のための重要な実習でもある。
しかし、これまで実習で一度も撮影部を経験できていない……

 

自分が思い描いていたルートとは大きく外れた道を来てしまった。

 

だが、今振り返ってみると、一見雑用係に思えるこのポジションも、撮影を志す上で無駄ではなかったな、と思う。        
Pを経験したことで、今まで見えなかった映画制作の全容がわかった。
お金、俳優、スケジュールについて調整し、ロケ地や各部とやり取りをする。
それら、すべては撮影部の仕事には直結しないが、映画を制作する上でかなり視野が広まった。
そこから、映画制作全体の中で撮影部を客観視することができた。撮影部はどのような部署なのか、全体の中で何をするべきか。限られた予算、時間の中でどのような表現が可能か。
映画の表現は予算、スケジュールによって左右されるという現実を知った。

 

紆余曲折して現在に至るが、思い描いていた自分の姿、ポジション、思い描いていたルート通りにはいかない。
だが、自分は確実に前進している。
今まで身につけてきたものすべてを発揮する卒業制作を前にして、撮影部として自分には何ができるだろうか。
どのような「画」を撮影できるだろうか。
Pとしての体験は必ず「画」に現れると信じている。

 

とりあえず、夏休みには実家に帰ろうと思う。
(日本映画学校映像科25期生)

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