こども映画大学ロゴ

日本映画大学の取り組み

こども映画大学の風景

地域貢献

 日本映画大学は、開学当初より地域と連携し、現在、川崎市麻生区役所地域みまもりセンター、イオンシネマ新百合ヶ丘と共催で、『こども映画大学』を毎年8月に開催しています。
 こどもの映画教育について、『シネリテラシー演習』授業を受講する大学生と地元の小学生が映画づくりを通して、共に考え、学び合い、協同作業を通じてのチームワークや相互コミュニケーションを図ることで、こどもの自主性や成長を培っていく、行政と教育と産業が一体となった地域連携教育プログラムです。2016年より、イオンシネマ新百合ヶ丘劇場で、完成した映画を上映します。

 今年で6年目を迎えたこの地域貢献事業は、麻生区在学・在住の小学生4年生~6年生を対象に、公募によって抽選で選ばれた40名が、毎年大学といっしょに映画づくりを通して、楽しく学んでいます。
 昨年まで、大学白山キャンパスで最終日に上映会まで行ってきましたが、上映会では会場に入りきれないほどに大盛況となった為、本年から共催者となったイオンシネマ新百合ヶ丘の協力を得て、『こども映画大学』初の、シネコン劇場での上映会を開催することになりました。

 こどもたちに、映画づくりを通して色々なことを学んでもらい、実際につくった映画を映画館で上映するという、おそらく日本初であろう試みに我々はチャレンジし、地域に貢献しています。

沿革

2011

日本映画大学開学(白山キャンパス・今村昌平記念撮影スタジオオープン)麻生区役所委託事業『わくわく体験ツアー』として、区内小学生を対象に大学内撮影スタジオで映画づくり体験プログラムを実施。

2013 『わくわく映画づくり』ポスター

『わくわく映画づくり』と事業名称を変更し、大学3年次夏期集中履修科目『シネリテラシー演習』とコラボし、夏休み3日間の日程で区内の小学4年~6年生26名対象に、大学生がシナリオづくりから、撮影、編集まで教えながら、作品制作を行い完成した作品を、参加者保護者を招待し、大スクリーンで上映する。

2014 『こども映画大学』2014チラシ

『こども映画大学』と事業名称を変更し、前年同様に映画づくり体験プログラムを実施。応募者多数により抽選で30名の小学生が参加。市制90周年のイベントとして、本学特任教授千葉茂樹氏、県立大和高校教諭で本学講師でもある中山周治氏を招き、『映像教育の実践』~映画とこどもの未来~参加者保護者向けに特別講演を実施。

2015 『こども映画大学』2015チラシ

『こども映画大学』は、麻生区役所こども支援室・日本映画大学とが共催となり、協力としてイオンシネマ新百合ヶ丘が新たに参加し、定員を40名に拡大し、8月に3日間の日程で実施。

2016

『こども映画大学』は、川崎市麻生区役所地域みまもりセンター、日本映画大学、イオンシネマ新百合ヶ丘の三者が連携した新たな地域貢献共催事業としてスタート。
本年度から、8月に4日間の日程で実施予定。最終日は、イオンシネマ新百合ヶ丘スクリーンでの上映を予定。

シネリテラシー演習とは

 本学3年及び4年生専門科目。『シネリテラシー研究』履修科目取得者が、麻生区役所と共催のイベント=『こども映画大学』に参加している小学生に映画づくり(シナリオ作りから撮影、編集など)を指導しながら共に作品を作り発表する。映画教育(シネリテラシー)が提案する3つの力。映画を読む(情報解読)・映画を作る(表現)・映画でつながる(情報共有・発信)。出来上がった映画に込められた視点は誰がどのように考え、どのように表現されてゆくのか。小学生と制作過程から完成・発表までを共にすることにより、映画としての表現方法、発想の過程、その面白さ、チームワーク、課題を体験し、学び合う。6日間の夏期集中演習授業。

指導講師よりメッセージ

 「あいうえお」という文字を習う。それぞれはひとつずつの文字であるが、「あ」と「お」を組み合わせると「あお」という言葉になる。同じ「あ」に「い」を組み合わせると「あい」という言葉になる。同じ「あ」でも組み合わせにより違う意味になる。

 「笑っている人」の映像がある。お笑い芸人の映像を組み合わせると「お笑い芸人を見て笑っている人」という意味になる。同じ「笑っている人」の映像に誰かが失敗している映像を組み合わせると「失敗を笑っている人」という意味になる。

 文字や言葉と同じように、映像も組み合わせによって違う意味になる。同じ笑った顔でも人格さえ違うように見せることができる。なぜその組み合わせにしたのか、その組み合わせにどのような意味が隠されているか。また、組み合わせをするためにどのような映像を撮影すればよいのか。実際にシナリオを書き、それを表現するための映像を撮影し、組み合わせる。自分が思った通りに他人に伝わるだろうか。

 映像を「見る」「作る」「見せる」この3つを繰り返すことでたくさんの組み合わせを知り、そこに隠された映像の意味を読み解き、作り出す能力が鍛えられてゆくのである。

日本映画大学 准教授 熊澤誓人

担当講師のご紹介

熊澤誓人
(日本映画大学准教授/映画監督)

映画監督。東宝株式会社入社後、出向先の東宝映画にて市川崑監督、犬童一心監督など数々の作品の助監督を務める。2011年『天国からのエール』で劇場映画監督デビュー。他監督作品にテレビドラマ『ここはグリーンウッド』(2008)がある。2009年文化庁新人監督育成プロジェクトVIPOに参加。第33回城戸賞では執筆した脚本『カメレオン☆アーミー』が最終選考に残る。2012 年よりしんゆり映画祭ジュニア映画制作ワークショップの指導講師を担当。川崎市麻生区と共催のこども映画ワークショップも担当しており、市内の小・中学生にも指導している。

安岡卓治
(日本映画大学教授/映画プロデューサー)

映画プロデューサー。原一男監督『ゆきゆきて、神軍』(1988)の助監督を経て、園子温らのインディーズ映画を数多くプロデュース。森達也監督『A』(1998)、『A2』(2000)で山形国際ドキュメンタリー映画祭特別賞・市民賞を受賞。プロデュース作品『LittleBird イラク戦火の家族たち』(2005)がロカルノ国際映画祭人権部門最優秀賞受賞。共同監督作品『311』(2011)、編集作品『遺言 原発さえなければ』(2013)が山形国際ドキュメンタリー映画祭で公式上映。近年、プロデュース作品『イラク チグリスに浮かぶ平和』(2014)、『赤浜ロックンロール』(2015)が公開。

川久保直貴
(脚本家)

脚本家。日本映画学校(現・日本映画大学)卒業後フリーランスとして、脚本だけでなく編集などにも幅広く活躍する。2010年より指導助手としてジュニア映画ワークショップに参加。2015年より指導講師を務める。