第38回東京国際映画祭(2025年10月27日~11月5日)のガラ・セレクション部門に正式出品された『兄を持ち運べるサイズに』が10月31日(金)、丸の内ピカデリー2で上映され、本学園卒業生の中野量太監督と出演したオダギリジョーさんが舞台挨拶に登壇しました。
撮影:日本映画大学(以下同)
- 映画『兄を持ち運べるサイズに』あらすじ
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作家の理子(柴咲コウ)は、突如警察から、兄(オダギリジョー)の急死を知らされる。兄が住んでいた東北へと向かいながら、理子は兄との苦い思い出を振り返っていた。
警察署で7年ぶりに兄の元嫁・加奈子(満島ひかり)と娘の満里奈(青山姫乃)、一時的に児童相談所に保護されている良一(味元耀大)と再会、兄を荼毘に付す。
そして、兄たちが住んでいたゴミ屋敷と化しているアパートを片付けていた3人が目にしたのは、壁に貼られた家族写真の数々。子供時代の兄と理子が写ったもの、兄・加奈子・満里奈・良一が作った家族のもの・・・ 兄の後始末をしながら悪口を言いつづける理子に、同じように迷惑をかけられたはずの加奈子はぽつりと言う。「もしかしたら、理子ちゃんには、あの人の知らないところがあるのかな」
兄の知らなかった事実に触れ、怒り、笑って、少し泣いた、もう一度、家族を想いなおす、4人のてんてこまいな4日間が始まったー。
中野監督「映画祭で上映してもらえるのは最大のご褒美」
最初の挨拶でマイクを握った中野監督は、「たくさんの方にお越しいただけて本当にうれしいです」と笑顔。
続けて「映画は作って、たくさんの人に観てもらうのが一番うれしいこと。映画祭で上映してもらえるのは僕にとってご褒美みたいなものです。それも東京国際映画祭という日本でいちばん大きな舞台で上映していただけるなんて、まさに“最大のご褒美”です」と感慨を語りました。
オダギリジョー「脚本を読んで、すぐに“やりたい”と思いました」
続いて挨拶したオダギリジョーさんは、「脚本を読んで本当に素晴らしいと思いました。読み終わってすぐ監督に“素晴らしい脚本ですね”とメッセージを送ったのを覚えています。監督がちょうどニューヨークにいらっしゃったんですが、“もし参加してもらえたらうれしいです”と返ってきて。もう即決でしたね」と振り返りました。
「だらしなくても愛される兄」――中野監督が語るオダギリジョーさん起用の理由
オダギリジョーさんが演じるのは、だらしなくて人に迷惑をかけても、どこか憎めない“兄”。
中野監督はキャスティングの理由について、「この役を思い浮かべたときに、オダギリさんしかいなかった」と即答しました。
「映画の仕事をしてきて、こういう“ダメなんだけど愛される人”を演じられるのはこの人だけ。『またダメ人間か』と思われるかもしれませんが(笑)、今回はそのイメージを超える新しい姿を見せてくれると思いました」と語ると、オダギリさんも苦笑いを浮かべ、会場から笑いが起こりました。
10年ぶりの再タッグ、「お互いに変わったところ」も語る
本作は、2016年公開の『湯を沸かすほどの熱い愛』以来、約10年ぶりとなる二人の再タッグ作。
当時を振り返り、中野監督は「昔のオダギリさんはとにかく自由でした。テストごとに毎回違う芝居をするし、“アイスクリーム食べながらやりたい”って言い出して、スタッフが買いに走ったこともありました」と笑いながらエピソードを披露。
「でも今回は脚本通りに演じていて、“面白い本はそのままやる”って言ってたんです。10年経っても鋭さはそのままに、すごく落ち着いた印象でした」と信頼をにじませました。
それに対し、オダギリさんも「監督は相変わらず真面目で、作品にとても誠実。たまに冗談が通じないくらい(笑)。こちらが軽いノリで提案すると本気で怒ることもあります。でもそれだけ作品に本気で向き合っている証拠です」と、監督へのリスペクトを込めて語りました。
舞台挨拶の最後にはフォトセッションがおこなわれ、温かい拍手に包まれながらイベントは終了。作品への期待を高める和やかな時間となりました。
『兄を持ち運べるサイズに』は11月28日(金)より全国公開されます。
ガラ・セレクション部門 正式出品『兄を持ち運べるサイズに』
脚本・監督/中野量太(日本映画学校12期 2000年卒)
プロデューサー/若林雄介(同)
撮影/岩永洋(同19期 2007年卒)
照明/谷本幸治(同12期 2000年卒)
編集/瀧田隆一(同20期 2008年卒)
音響効果/勝亦さくら(同15期 2003年卒)
上映日時:10/31 [FRI] 20:05- 丸の内ピカデリー2|11/02 [SUN] 17:10- TOHOシネマズ 日比谷 スクリーン13
上映詳細はこちらをご確認ください。
【全国公開】11月28日(金)
映画公式サイト https://www.culture-pub.jp/ani-movie/
映画『兄を持ち運べるサイズに』予告編
『兄を持ち運べるサイズに』作品情報
映画『兄を持ち運べるサイズに』
原作:「兄の終い」村井理子(CEメディアハウス刊)
脚本・監督:中野量太
キャスト:柴咲コウ オダギリジョー 満島ひかり 青山姫乃 味元耀大
制作プロダクション:ブリッジヘッド/パイプライン
公開日:11月28日(金)
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
【脚本・監督】中野量太
1973年生まれ。2016年、商業デビュー作『湯を沸かすほどの熱い愛』が日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞など6部門受賞、国内映画賞で35冠、米アカデミー賞(R)外国語映画部門の日本代表に選ばれる。19年『長いお別れ』がロングランヒットに。20年『浅田家!』が、日本アカデミー賞・最優秀助演女優賞など8部門受賞。フランスで観客動員25万人を超えるヒットに。独自の感性と視点で、家族を描き続けている。
【監督コメント】
5年ぶり、満を持しての新作です。
『面白い映画を作ったので観て!』と、自信を持って言いたくて、脚本から仕上げまで、真摯にこだわり抜いて作り上げました。
誰もが人生で経験するであろう身近な話を、リアルかつ、映像でしか表現できない奇想天外な方法で描いています。
柴咲さん、オダギリさん、満島さん、この三人の絶妙なアンサンブルは、監督として、もう堪らんです。
僕の想像を超えるシーンをいくつも撮れました。子ども達のナチュラルで存在感ある演技も素晴らしかった。
自分の身にも起こるかもしれない話です。もしかしたら、この映画は、【明日のあなたの真実】になるかもしれません。
最後に言いたい。
『めっちゃ面白い映画を作ったので観てね!』
第38回東京国際映画祭
開催期間:2025年10月27日(月)~11月5日(水)
会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
公式サイト:https://2025.tiff-jp.net/ja/