日本映画大学は、映画の作り手を志す者たちのための大学です。
本学は、普通の大学とは違い、映画作りを実習で学ぶことに特色のある大学であり、遠隔授業のみで映画作りを学ぶことに限界があることは、十分に認識しています。
私たちは、映画作りを学ぶ実習の機会の確保を最優先に、コロナウイルスに対応するために新しい改訂版のカリキュラムを作りました。
具体的には、コロナウイルスが充分に収束していることを期待し、対面で行う実習は全て9月以降に行うことにしました。そこでは例年と変わらない時間数を確保しています。
前期は、社会の状況をふまえ、学生・教職員の健康と安全を守るためにやむを得ず遠隔授業を開講時から導入しますが、これは一部のワークショップを除き、すべて座学の授業です。教員たちは既に様々な工夫をして準備をしており、オンラインであっても学習効果の高い授業を実施します。そして状況をみながら徐々に対面授業に戻していきます。
授業の開始が遅れた分は、夏休みや冬休み、連休などを授業期間に充てることで、例年と変わらない学習の量と内容を確保できる授業計画になっています。
したがって、例年と質的に変わらない教育内容をお届けできる準備を本学は整えています。本年度も、映画作りを実習で学び、映画人を育てるという日本映画大学の学びの核心は、変わることはありません。
・授業料・施設設備費・実習費について
現在、一部の保護者と学生から、授業料や施設設備費や実習費の返還・減額についてのお問い合わせをいただいていておりますので、お答えいたします。
授業料は、上で述べた通り、このまま収束すれば例年通りの量と質の内容の授業が実施できる予定なので、返還や減額をする必要はないことになります。また、実習費も、実習を行うわけですから、実習のために使うことになります。
施設設備費に関しましてご理解いただきたいのは、大学の施設は、学生の皆さんが使っていなくても、維持・管理の費用が必要だということです。また、遠隔授業に対応するために、新たな設備を導入する費用も追加で発生しております。
とはいえ、学校が閉鎖されている間に大学の施設・設備が使うことができなかったのですから、その分のお金を例年と同じように払うのは不公平だと感じる気持ちはよく理解できます。 こうした状況を考慮し、日本映画大学は、通信環境整備にかかる負担を少しでも軽減するため、緊急支援として一人あたり5万円を給付することを決定いたしました。
私たちは、これを「施設設備費」の「返還」とは表現せず、「通信環境整備」のための「給付」と呼んでいますが、目的は自宅などに必要な「設備」を整えるためですので、ご理解をいただけると考えています。
日本映画大学は、映画の作り手を志す者たちのための大学です。映画作りを学ぶ意欲に満ちた学生たちに、実習を中心とした学習の内容と質を確保しようと教職員たちは全力を尽くしています。
経済的に苦しい状況にある学生たちがいることも十分に承知しています。国や社会と共同してこれからも救済策を求め、すべての学生たちが学び続けられるよう、そして世界に羽ばたく映画人となって活躍してくれることを願ってやみません。
現在、多くの映画の製作が中断されていますが、今この時にもコロナ禍での製作再開に向けて黙々と準備するスタッフが数多くいます。その中の中心的位置を占める人たちに、この大学の先輩たちがたくさんいることを忘れないで欲しいと思います。
在学生のみなさんがこの苦しい時から学ぶことは、映画作りに通ずるものが必ずあります。OB・OGの映画人スタッフとの出会いに向けて、今年だから適う多くのことを一緒に学んで行きましょう。
2020年5月22日
日本映画大学