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「映画で学ぶ歴史と社会」特別講師にジャーナリストの堀潤さん

教養科目の「映画で学ぶ歴史と社会〈国際情勢〉」では、紛争、貧困、人権、環境などの地球規模課題や、現代の国際政治の歪みから生ずる紛争および難民問題、そして国連、政府、市民、NGOの役割について映画を活用しながら考えていきます。

2022年1月28日に行われた講義は、ジャーナリスト・キャスターとして多方面で活動されている堀潤さんをオンラインでお招きし、特別講師を務めていただきました。

堀潤さん(NPO法人8bitNews代表理事 / 株式会社GARDEN代表)

1977年生まれ。立教大学文学部ドイツ文学科卒業後、2001年NHK入局。
アナウンサーとして「ニュースウォッチ 9」リポーター「Biz スポ」キャスター等、報道番組を担当。
2012年市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げる。2013年4月1日付でNHKを退局。
現在は、ジャーナリスト・キャスターとして独自の取材や報道・情報番組、執筆など多岐に渡り活動している。

【出演番組(抜粋)】
・東京MX「モーニングFLAG 」(メインキャスター)
・読売テレビ「かんさい情報ネット ten.」(コメンテーター)「ウェークアップ」(コメンテーター)
・テレビ東京「やりすぎ都市伝説スペシャル」
・AbemaTV「Abema Prime」

『JVCカンボジア40年活動記録映像』予告編 

特別講義ではまず、熊岡特任教授が製作の一人を務め、堀さんがナレーションを担当された「JVCカンボジア40年活動記録映像」を上映。JVC(*)の活動をカンボジア現代史とともに振り返りました。

そこでは当事者のインタビューを交え、現地での井戸掘りや、技術学校の設立、そして農村開発などの実際が紹介され、学生たちは人道・技術・復興支援の具体的なあり方を学びました。

*日本国際ボランティアセンター。熊岡路矢特任教授はJVC創設メンバーで初代カンボジア代表を務めた。

授業を担当する熊岡路矢 特任教授
「JVCカンボジア40年記録映像」より

一方、JVCの活動に密着して6年になる堀さんは、取材先の村や町で、農村の開発に伴って暮らしが自給自足から現金収入へ転換することの葛藤を感じたといいます。

巨大資本が経済成長をもたらす一方で、その国の民主主義は後退してしまうというジレンマを農村部に垣間見て、「資本主義と民主主義のバランスをどうとっていくのか?」という問いが発せられました。

映画『変身-Metamorphosis』 予告編

それに関連し、堀さんが製作・監督した映画『変身-Metamorphosis』から、焦点は原発事故の問題に当てられます。

東京のエネルギーを供給してきた福島の原発。堀さんは第一原発、第二原発の取材をもとに、農村開発と同様の問題(構造)を見出します。

人々が豊かになって逆に自己決定権を失いつつあるなかで、何事も時間がかかる民主主義というのは、暴走する経済の歯車を自分たちで制御する仕組みではないか、との視点がそこで提示されました。

映画『わたしは分断を許さない』 予告編

また、民主主義の対義語は、独裁でも王政でもなく「沈黙」だとし、沈黙を強いることや、沈黙をせざるを得ない空気は、民主主義とは対岸にあると堀さんは指摘。

確かに声を上げることは勇気がいり、コストもかかりますが、「声を上げている人を支えること」もその一つになる、といいます。

ともすればイデオロギー的な対立になりかねないところ、小さなことでも具体的にアクションを起こしている堀さんの活動を振り返り、熊岡特任教授も「具体的に始めることに一つポイントがある」とまとめました。

実際に学生からは、「カンボジアでのオンラインボランティアの可能性と課題」や「ボランティアが現地の人の仕事を奪う心配」について質問が寄せられるなど、それぞれ自分の関心に結びつけて、学びを深めている様子がうかがえました。

オピニオンではなく、具体的なファクトを丁寧に手渡して、社会の分断を乗り越えていく。この度の講義は、その姿勢に触れられる貴重な機会となりました。

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