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【レポート】山形国際ドキュメンタリー映画祭(島田隆一先生)

報告者 :島田隆一  (准教授/映画監督・プロデューサー)

日本映画学校(現日本映画大学)卒業後、ドキュメンタリー映画『1000年の山古志』(橋本信一監督/2009年)に助監督として参加。以降、フリーの映像制作者として、多くの企業用PR映像を手がける。2012年、監督作ドキュメンタリー映画『ドコニモイケナイ』を発表。同作で2012年度日本映画監督協会新人賞を受賞。2014年、筑波大学創造的復興プロジェクトが製作する『いわきノート』に編集として参加。プロデュースを手がけた『桜の樹の下』(田中圭監督/2015年)が第71回毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞受賞、ドイツのニッポン・コネクション2016で観客賞と審査員特別賞を受賞。ほか監督作に『春を告げる町』(2020年)、『二十歳の息子』(2023年)。プロデューサー作に『帆花』(2022年)。





2023年10月5日から12日まで、第18回目を迎える山形国際ドキュメンタリー映画祭が開催され、ドキュメンタリーコースの学生9名と参加することになった。1989年に始まった本映画祭は、ドキュメンタリー映画に特化したアジアでも数少ない国際映画祭の1つである。2年に一度開催されていたが、前回2021年はコロナ禍を理由にオンライン開催となったため4年ぶりの通常開催である。日本映画大学のドキュメンタリーコースでは、授業の一環として毎回参加している。これから卒業制作を作る彼らにとって、様々な映画に触れ、‟ドキュメンタリー映画“という固定概念を覆してくれることを願っての授業プログラムである。
今年の映画祭のメイン・プログラム「インターナショナル・コンペティション」には15作品が選出され、もう一つのコンペティション部門である「アジア千波万波」では、19本の映画が上映された。世界のドキュメンタリー映画の今を知ることができる映画祭は、学生にとっても貴重な機会となったのではないだろうか。

山形駅に到着した日本映画大学生9名

7日と8日の夜には、映画好きな学生同士が交流する場として、「学生交流ナイト!」というイベントが開催され、短編作品の上映と懇親会が2夜連続で開催された。

会場設営を手伝ってくれた学生たち

7日の夜には、京都芸術大学、東北芸術工科大学の作品が上映、
8日の夜には、日本映画大学の3年前期の実習作品である『帰れない二人』(監督:邓(トウ) 茂荣(モエイ))の他、京都芸術大学、東北大学映画部の作品が上映された。
上映後には質疑応答があり、全作品上映後には、立食形式の懇親会が行われた。

質疑応答をするトウモエイさん

上映後の懇親会

7日は58名、8日は70名以上の学生が参加し、互いの作品や映画祭で上映されている映画についてなどを語り合い、交流を深めた。作品上映を行った日本映画大学、京都芸術大学、東北藝術工科大学、東北大学の他に、山形大学、武蔵野美術大学、日本大学、文教大学、学習院女子大学などの学生が参加していた。
ドキュメンタリー映画に興味を持っている学生がこんなにも多いとは私自身、とても驚かされ勇気をもらった。そして、夜遅くまで様々な議論を交わす学生たちを見て、これからの作品作りが楽しみである。

10月9日には、ドキュメンタリー映画の制作現場における倫理の問題について話し合う「ドキュメンタリー制作現場でのヒヤリハット事例雑談」というイベントを有志のメンバーで行った。
制作現場での倫理が厳しく問われている今、誰にとっても安全な環境の下で作品を生み出していくために、まずは小さな一歩として制作者たちが集い、これまでの経験を共有する場を設けることを目的としたイベントである。「ドキュメンタリー映画制作者有志の会」のメンバーは小田香、川上拓也、島田隆一、戸田ひかる、秦岳志、藤岡朝子の6名であり、当日のイベントでは私、小田香監督、戸田ひかる監督、秦岳志氏の4名で事前に集計したアンケート結果をもとに、自身の実体験を交えながら今後のドキュメンタリー映画の制作現場においてどのような問題共有が必要なのかを議論することができた。

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