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ひいくんのあるく町

ひいくんのあるく町

ドキュメンタリー|47min|DCP

ストーリー

平凡な田舎町をいつも歩き回る“彼”は、町のみんなから“ひい君”と呼ばれ、いつも誰かの手伝いをしている。ひい君が歩く町は変わった。「水口屋」の店主・青柳正輝さんは病気で倒れ、大好きな写真を撮りに行くことも難しくなった。正輝さんが撮影した写真には、当たり前の暮らしが写されていた。ひい君は歩くことで人の記憶に残り、正輝さんは写真で町を記録する。緩やかに、でも確実に変化して行く町。その町を、ひい君は今日も歩いて行く。

解説

監督の青柳拓。彼は大学への進学を機に、地元、山梨県甲府盆地の南に位置するこの市川大門町を離れた。

田舎町。自然豊かで水が綺麗なこの町は、和紙の町として栄えてきた。

コロッケ屋、そば屋、電気屋、彼がかつて通ったお店はなくなっていき、たまに帰る故郷の商店街は確実に姿を変えていった。

この町で過ごしたあの日への郷愁にかられた青柳は、一度捨てた自分の故郷をもう一度見つめ返した。

そんな時、青柳の父が働いている地域活動支援センターで「ひい君」と出会う。

『いつもヘルメットを被っている変なおじさん』それが、青柳がひい君に対して持っていた印象だった。

ひい君は、ヘルメットを被り、いつも町を歩き回っている。

『彼についていけば町のいろんな顔が見えてくる』

そう考えた青柳は、ひい君の住む渡井家のドアをノックした。

ひい君の家族に話を聞いていく中で、一枚の写真が見つかった。

写真を趣味にしていた青柳の叔父さんが撮影したもので、そこには、節分で鬼の仮面をかぶったひい君の隣に、幼き頃の青柳が一緒に写っていた。

『あの時、頭を撫でてくれたのはひい君だったんだ。』

それまで青柳の中で「町を歩く変なおじさん」として風景に馴染んでいた彼が、急に目にとまる存在に感じた。

記憶のなかの故郷でいつも歩いていたひい君。

そばにあったものに対して気づけなかったことや、地元を離れてしまったことへの後ろめたさが青柳の中でこみあげてきた。

ひい君と町を撮ることで、自分の中にある想いを整理しながらカメラを持った。青柳の見つめる「ひい君の歩く町」から見えてきたものは「人と町、当たり前の日常」だった。

キャスト

渡井秀彦

渡井すづ子

渡井のあ

渡井香江

青柳正輝

青柳好美

一瀬久雄

一瀬喜代司

佐藤文子

小林千恵子

芦沢稔

青柳正彦

望月茂子

小池幸子

宮崎香里

芦沢裕子

芦沢和枝

渡井轟士

スタッフ

監督:青柳拓

撮影:山野目光政

録音/副プロデューサー:植田朱里

プロデューサー:熊澤海透

録音:福田陽

編集:朝野未沙稀

協力:丹沢梅野、青柳一美、有泉一征、地域活動支援センター「太陽の家」、今昔通り商店街のみなさん、市川地区中央部まちづくり懇談会、町を良くする会、ホームセンターくろがねや市川大門店、スーパーセルバ市川三郷店、Jマート市川大門店

参考文献:歴史と文化、水路とヒヤのまち『甲州市川のまちづくり読本』

監督コメント

「地元に帰るといつも歩いてるあの人(ひい君)、見かけなくなっちゃったら、なんか寂しくなるね」
下北沢の居酒屋で同郷の友人と何気なく話をしていた。かくいう僕たちはひい君とはなんの関わりもなくて、話したことすらない、ただ同じ町民ってだけの部外者だ。
ひい君が町を歩くのは、人に会えるから・行きたい場所があるから・誰にも会えなかったとしても「会えるかもしれない」と思える場所があるから歩いているのだと思う。そんな彼を思い出してなぜ僕たちは「寂しい」と感じるのか、それは地元に対して抱く気持ちと似ていた。

地元を離れて、都会で暮らす若者の毎日は新しいことを相手にするのに忙しい。変わっていく地元に対しても、そもそも個人が考えたところで無力、無関係とさえ思っているのかもしれない。でも、大きなお祭りがあると帰郷して「この町も寂しくなっちゃたね」なんて言う。
時代の大きな流れは簡単には変えられない、だからしょうがない。そうかもしれない。
でもそれではひい君やこの町は本当になくなってしまうのではないか。それでいいのだろうか。「しょうがない」と思えるほど、僕たちは生きてきた場所のことを考えただろうか。
(しょうがないという気持ちも含めて)この映画で大勢の人にひい君の存在と町の現在を知らせたい。そしてこの現状を変えようと行動している人たちがいることを知ってほしい。

監督:青柳拓

予告編

ひいくんのあるく町